2006 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症に対する再生治療および新規抗アポトーシス治療法の開発
Project/Area Number |
17590879
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
武久 康 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00379752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 康二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20212540)
永井 真貴子 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80420488)
林 健 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40314679)
村上 哲朗 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (70403475)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 抗アポトーシス治療法 / 再生治療 / IGF-1 / 神経栄養因子 / FNK / 髄腔内投与 / SODG93A transgenic mice |
Research Abstract |
我々はALSモデルマウスとして、 G93A mutant human SOD1トランスジェニックマウスを用いて、運動ニューロン死の機序を調べ、かつ様々な試みを行ってきた。そのひとっとして神経栄養因子IGF-1の腰部髄腔内投与による、モデルマウス治療実験がある。この研究では、皮下において浸透圧ミニポンプから腰部髄腔内ヘカテーテルを用いてIGF-1を持続的に投与したもので、血液脳関門の中に直接IGF-1を注入することで、運動ニューロンへの良好なdrug deliveryをねらったものである。この研究では1ヶ月間、注入を持続できるポンプを使用し、毎月ポンプを交換して4ヶ月にわたって治療を行った。その結果、IGF-1髄注によって軽度ながらG93Aマウスの発症が遅延しかつ寿命が延長することを観察した。組織学的検索を行ったところ、運動ニューロン内の生存因子、p-Akt, p-ERKを増加させることがわかり、これらの生存因子がアポトーシスを抑制することにより、臨床的な有効性を発揮することが推測された(Narai H, Abe K. J Neurosci Res,2005)。 また、ALS脊髄での神経幹細胞の増殖、移動、分化を検討するため、増殖効果の高い上皮細胞成長因子(EGF)と塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF2)投与を行った。発症したALS脊髄では神経幹細胞の増殖、前角への移動が活性化し、EGF+FGF2投与によりさらに活性化され、かつ神経前駆細胞への分化が進んだことがわかった(Ohta Y, Abe K. J Neurosci Res,2006)。 Bcl-X_Lの合成誘導体であるFNKは強力な抗アポトーシス作用を持っており、その有効性はすでに培養細胞および脳虚血モデルでは報告されている。そこで、上記のFNKをより中枢神経系に充分に到達しかつ細胞膜を通過して細胞質内で有効性を発揮させるために、FNKと血液脳関門及び細胞膜通過作用のあるPTD(protein transduction domain)を融合し、投与法の改良を加えた。まず、pTAT-HA-GFP vector(Washington University in St. LouisのDr. Dowdyにより供給)よりPTD-HA-GFPを精製し、これを浸透圧ポンプを用いマウス腰髄レベルに1W持続注入し、腰髄運動ニューロンにPTD-GFPが良好に取り込まれることを確認した。次に、PTD-FNKを浸透圧ポンプを用いマウス腰髄レベルに4W持続注入し、それぞれの手法と対照群(人工髄液)において、生存日数、運動量、体重の変化について比較検討した。その結果、PTD-FNK群で有意に生存曲線の延長、運動量の増加、体重減少の抑制を認めた。さらにPTD-FNK群で腰髄の運動ニューロン死を抑制し、cleaved caspase 3、9およびTUNEL陽性細胞の有意な減少を認め、抗アポトーシス作用を確認した(Ohta Y, Abe K. submitted)。
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[Journal Article] PINK1, a gene product of PARK6, accumulates in □-synucleinopathy brains.2007
Author(s)
Murakami T, Moriwaki Y, Kawarabayashi T, Nagai M, Ohta Y, Deguchi K, Kurata T, Takehisa Y, Matsubara E, Ikeda M, Harigaya Y, Shoji M, Takahashi R, Abe
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Journal Title
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 8 (Epub ahead of prin)
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[Journal Article] Protein-bound crotonaldehyde accumulates in the spinal cord of superoxide dismutase-1 mutation-associated familial amyotrophic lateral sclerosis and its transgenic mouse model.2007
Author(s)
Shibata N, Kgwaguchi M, Uchida K, Kakita A, Takahashi H, Nakano R, Fujimura H, Sakoda S, Ihara Y, Nobukuni K, Takehisa Y, Kuroda S, Kokubo Y, Kuzuhara S, Honma T, Mochizuki Y, Mizutani T, Yamada S, Toi S, Sasaki S, Iwata M, Hirano A, Yamamoto T, Kato Y, Sawada T, Kobayashi M.
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Journal Title
Neuropathology. 27
Pages: 49-61
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