2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳内移行性をターゲットにしたペントサンポリ硫酸の改変によるプリオン病の治療薬開発
Project/Area Number |
17590882
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
調 漸 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 教授 (40264220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片峰 茂 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (40161062)
古川 ひさ子 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 客員研究員 (80341452)
西田 教之 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (40333520)
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Keywords | プリオン病 / ペントサンポリ硫酸 / 血液脳関門 / 低分子ペントサン |
Research Abstract |
プリオン病治療薬の即戦力的な治療薬開発を目指した。その方策としてこれまでで最も試験管内で強力な作用を有し、動物実験でも効果が証明された薬剤の中から、既存薬として疾患に使用されている薬剤であるペントサンポリ硫酸(PPS)を用いて新たな治療薬開発を企図した。本剤はヘパリン類似薬であり、ヘパリンが低分子化すると脳内送達性が飛躍的に向上することから、PPSの低分子化を試みた。低分子化には酸加酸化分解法、ゲルクロマトグラフィー法による分画、更に、限外濾過濾過法による方法を検討した。アッセイは異常型プリオン持続感染系N2a細胞株に薬剤を振りかけ、ウエスタンブロット法でプロテイナーゼ異常プリオン量を半定量した。脳移行性は血管内皮細胞、アストログリア細胞の共培養系を用いたin vitro BBBモデル系を使用して仮想血管壁を透過し下層に移行した分画を前述の持続感染系細胞にて判定した。得られた一部の低分子ペントサンで異常型プリオン感染マウスに浸透圧ポンプを埋め込んだ脳内、腹腔内持続投与系を用いた感染マウスでの治療実験を行った。 結果: 1)低分子化は何れの方法でも可能であったが分子量としてはORIGINAL COMPAUNDは4,700Kdであるが推定分子量比で50-60%の低分子PPSが限界であった。 2)より科学的修飾を加えない条件下で低分子分画を得る目的で限外膜濾過法によって低分子分画を分取した。 3)得られた低分子PPS分画は1μg/mlの濃度で異常プリオン発現抑制効果を発揮した。 4)異常プリオン感染マウスによる治療実験系では末梢(腹腔内)持続投与群、脳室内持続投与群でPPS Original compound投与群、低分子PPS投与群、対照群としてブドウ糖投与群を各々N=6として行った。何れも1.12mg/mlの濃度で調整した。効果判定はマウスの死亡までの期間で判定した。対照群123.4±7.4日であったがPPS脳内投与群(PPS138.7±5.9日)低分子PPS(130.0±4.7日)で有意に延長した。しかし、腹腔内投与ではPPS(125.8±7.7日)低分子PPS(125.0±5.9日)と有意な延長を認めなかった。以上より、低分子PPSはin vitro系では効果を発揮するものの、感染動物実験系ではこれまでに治療効果は確認できていないことから、今後更に低分子の分画の分取が必要と思われた。
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Research Products
(6 results)