2005 Fiscal Year Annual Research Report
都城に多発する遺伝性小脳失調症の臨床疫学と原因遺伝子同定
Project/Area Number |
17590885
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
大窪 隆一 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (50381166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 博 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (80372803)
有村 公良 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20159510)
松山 航 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (90372804)
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Keywords | 脊髄小脳変性症 / 連鎖解析 / Puratrophin / SCA4 / 16qADCA type III |
Research Abstract |
都城地域の高齢発症の常染色体優性遺伝の小脳失調症は、連鎖解析の結果16番染色体に連鎖することを確認しているため、16q-ADCA type IIIと呼ばれる全国に見られる疾患と、同一と考えられた。我々の疫学調査の結果、本疾患が、都城を中心に宮崎県及び鹿児島県(喜入地区、川辺、鹿屋など)に広く広がっていることを確認し、さらにそれら患者について臨床的に解析し、40〜65歳で発症、常染色体優性遺伝の形式、小脳症状で発症し緩徐進行性、小脳症状以外に、腱反射亢進、下肢筋力低下、深部感覚障害、画像上小脳および橋被蓋部の萎縮を認め、生命予後は良好であった。治療についてはタルチレリン水和物の有効性についても確認した。 遺伝子学的検討では、我々は、2点連鎖解析や家系間のハプロタイプ解析により、1.25MBの範囲に遺伝子座を同定しており、この1.25MBの範囲にある36の遺伝子の解析では、異常を見いだしていない。一方2005年Ishikawaらにより、本疾患の原因の候補としてPuratrophinが、報告された。そのため、我々はこの報告の遺伝子の異常が、南九州地域の小脳失調症についても疾患の原因になっているか検討した。その結果、南九州の患者29例においても同様の変異が認められた。しかし4例についてその遺伝子変異がホモ接合体であったが、臨床型は重症ではなかった。発見された遺伝子変異は、5'UTRにありloss-of-functionで疾患が起こることが想定され、ホモ接合体が重症でない点、75歳の遺伝子異常がある未発症例の存在など、本遺伝子の異常で小脳失調症が起こりうるかは検討が必要である。それゆえ、我々は現段階で一つの遺伝子異常に絞ることは危険であり、アレイ技術やFISHなども用いて、本領域の遺伝子発現、遺伝子の欠失や重複の同定や、genomeの組み換え異常などについて検討している。
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Research Products
(1 results)