2006 Fiscal Year Annual Research Report
HAM発症関連遺伝子作用機構の解析と無症候性感染者における発症リスク評価の試み
Project/Area Number |
17590886
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
齊藤 峰輝 金沢医科大学, 医学部, 助教授 (40398285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 良尚 鹿児島大学, 医学部歯学部附属病院, 講師 (00359978)
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Keywords | ウイルス / 脳神経疾患 / 遺伝子 / 免疫学 / 臨床 |
Research Abstract |
鹿児島大学病院神経内科HTLV-Iキャリアーコンサルテーション外来に来院した無症候性キャリアー(HC)181症例を対象に、HTLV-Iプロウイルス量、HLA-A^*02,Cw^*08,Taxsubtype,TNF-863A/C,SDF-1+801G/Aを解析し、HAMリスク計算式に代入してHAM発症のOddsを計算した。各症例のOddsと臨床症状、抗HTLV-I抗体価、各種免疫学的パラメーターとをOddsが高い群(【greater than or equal】0.78)と低い群(<0.78)との間で比較検討した。Oddsが高い群(【greater than or equal】0.78)において、低い群(<0.78)に比べて下肢深部腱反射が亢進している症例が有意に高く(OR:2.18,95%C.I.;1.11-4.31,p=0.036)、臨床検査値においても、Oddsが高い群では異常リンパ球数(p=0.011)とパーセンテージ(p=0.010)が高い症例が有意に多かった。よって、我々の計算式はHTLV-Iキャリアーの経過観察、HAM早期発見に有用であると考えられた。一方、HAM患者、HCの末梢血単核球中HTLV-I特異的CD4,CD8陽性T細胞をHAM感受性class I,class IIアレルとエピトープペプチドで作成したtetramerを用いて検出し、頻度、フェノタイプ、サイトカイン産生能、TCRレパートリー、CDR3領域、細胞障害活性を解析した。HAM患者では、HTLV-I特異的CD4,CD8T細胞ともにHCに比較して有意に高頻度であり、TCR解析から、HAM発症関連MHCとエピトープペプチドによりin vivoで選択されたものであることが示された。また、サイトカイン産生能、細胞障害活性においてHAMとHCとで機能的な差を認め、HTLV-I特異的T細胞の機能低下がHAM発症に密接に関与する可能性が示唆された。
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