2006 Fiscal Year Annual Research Report
高速プロテオーム解析法導入によるCrow-Fukase症候群の病態解析
Project/Area Number |
17590888
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 照人 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70250917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 征郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (20082282)
阿邉山 和浩 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 客員助教授 (30284897)
有村 公良 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (20159510)
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Keywords | Crow-Fukase / POEMS / プロテオーム / プロテオミクス / Syndrome / VEGF / 脳 / 神経 |
Research Abstract |
予後不良の難病であるCrow-Fukase症候群の病態解明のためにはプロテオーム解析技術の導入が必要であると考え、(株)プロトセラ社:田中憲次らと共同研究契約を結び(平成17年10月12日)、本症候群患者血清および健常人血清検体にて、田中ら(プロトセラ社)の開発した新規高速プロテオーム解析技術を用いて、本症候群患者特有の血清マーカー分子を探索した(differential-display解析)。本症候群の血清は全身状態の安定した時期、増悪期、播種性血管内凝固症候群、多臓器不全の4つの病態において行った。その結果、各々の病態に特徴的なマーカー分子の同定に成功した(特許出願)。また、本研究成果は平成18年10月3日日経産業新聞に掲載された。今回のプロジェクトの達成のためには #1必要とされる患者血清検体が微量であること #2未知の病態であるため検索対象となるタンパク質が網羅的であること #3多検体の解析が可能でありかつ正確であること #4解析時間が高速であり、一連の作業の回転効率が高いこと が挙げられた。また、同定された分子マーカーの一つはある種の腫瘍性疾患患者血清において特異的に上昇していることを明らかにした(特許出願)。本研究に用いたプロテオーム解析技術はこれらの条件を満たすものであった。それは、解析直前の血清中からのアルブミン除去や組織からの抽出試料の希釈等の一切の前処理が不要であり、電気泳動法で分離したタンパク質を、染色、消化、切断抽出をせずに直接泳動ゲルから質量分析用チップに電気転写し、即座に質量分析を可能とし、さらに得られた疾患特異的ペプチド並びにタンパク質の構造解析が同じチップ上で可能となる新規質量分析用タンパク質チップである。In vitroでの実験においては、同定された分子マーカーの生物活性を培養ヒト血管内皮細胞を用いて、特にVEGFとの相互関連について検討中である。 また、Crow-Fukase症候群のモデル動物として作成したB細胞特異的VEGF過剰発現マウスにおいては特に脾臓に特異的変化を認めた。近年、B細胞の産生するVEGFが樹状細胞の遊走、リンパ節の腫大に重要な役割を果たすことが報告されている。現在このマウスにおける表現型の詳細な解析と先に発見した病態マーカーの本マウスにおける発現について検討中である。
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