Research Abstract |
Parkinson病(PD)患者が正常の感覚刺激を誤って記憶照合過程で入力し,処理システム上の脱抑制による消去不能がこれを引き起こすことが推測されている,本年度の研究では,刺激変化の神経コードを記憶する過程によって生成され,自動的な,早期の情報処理活動を反映する脳波・脳磁図mismatch negativity (MMN)を応用し,PD患者におけるこれらの異常が,いつ生じ,そして罹病経過,薬物投与経過とともにどのように変遷してゆくかについて解明することへの基礎的準備,検討を行った.本年度(〜平成19年3月31日)は,研究目的,予想される結果を説明しこれに同意の得られたParkinson病患者10名と健常者5名を対照として,聴覚性MMN電場の測定を獨協医科大学において行い,MMNは,注意配分を視覚性のものに制限させながら行った(田中,穂積).MMN脳地図測定には科学研究費補助金により測定電極数の増設を行った日本光電製マルチチャンネルデジタル脳波計を用いた. 主に,弘前大学医学部神経科精神科(矢部)で,データ解析が行われた.その結果健常者に対し,Parkinson病患者では,1)高振幅MMNが記録,2)160-170msと予測しているtemporal window of integration (TWI)に対応する感覚記憶の前半部分で著しい振幅低下が生じていた. MMN磁場についても,同施設において,204ch全頭型脳磁図(MEG)を用いて予備実験が行われた.平田は以上のMMN結果を統計解析し,データの整合性,解釈モデルとの相違につき検討した.
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