2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗ALS活性を有する独創的新規再生因子誘導体コリベリンの作用機序の解明と臨床応用
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17590893
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
喜多 淑子 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00327496)
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Keywords | ALS / アルツハイマー病 / ADNF / HN(ヒューマニン) / コリベリン / G93A-SOD1 / MND / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
予定通り、コリベリン(ADNF-HN誘導体)が延命効果をもたらす機序の解明をめざして、ADNF9、HN(ヒューマニン)、コリベリンのキャラクタライゼーション実施から始めた。 HN誘導体、AGAC8R-HNG17はpMレベルで活性を有する最強誘導体であるが、これがADNF9というfM(フェムトモル濃度)レベルで活性をもつ神経栄養因子と融合されるとADNF9と同様fMレベルでの活性を有するようになる。これを説明するための仮定として、コリベリンの2量体化を考えた。HNが2量体化して活性を発揮することは以前報告されているが、コリベリンのN末側のADNF9が2量体化する事によりHN部分の2量体化を強固なものにすると仮定した。この仮定を証明するため、まず、ADNF9の2量体化が起るかを、CD(円偏光2色性)及び、超遠心沈降平衡法で解析したところ、ADNF9は広範囲の濃度域において、モノマーであった。同様の方法により、コリベリンを測定解析したところ、やはり、モノマーであることが判明した。よってこの結果は、コリベリンのフェムトモル濃度での活性が、2量体化によるものではなく、HNの作用機序とも異なる何か特殊なメカニズムによるものである事を示唆している。 以前、株化されたハイブリッド神経細胞を用い、アルツハイマー病原因遺伝子やALA原因遺伝子導入により惹起される細胞死に拮抗する因子の活性を比較していたが、よりin vivoに近い系として、E17マウス胎児の初代培養大脳皮質神経に、V642I-APPのリコンビナントアデノウイルスを感染させ、それによる神経死に拮抗作用を示す因子を探索するアッセイ系を作成した。ADNF9及び、HN誘導体を調べたところ、ADNF9は100fMで、HN誘導体は10nMで、ほぼ100%の拮抗作用を発揮した。これは、アミロイドβ(Aβ)の毒性による神経細胞死にたいする拮抗作用と同様の結果であった。
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