2006 Fiscal Year Annual Research Report
ポリグルタミン病の分子機構の解明と分子シャペロン誘導薬による予防と治療の研究
Project/Area Number |
17590903
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
畑山 巧 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (10094484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山岸 伸行 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (60298685)
齊藤 洋平 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (90411032)
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Keywords | ポリグルタミン病 / 分子シャペロン / アポトーシス / Hsp105 |
Research Abstract |
Hsp105は哺乳動物の種々の組織に発現している分子シャペロンであり、Hsp105αとHsp105βのイソフォームが存在する。我々はこれらのHsp105が伸長ポリグルタミンタンパク質による神経細胞のアポトーシスを抑制することを報告しているが、本研究は、Hsp105の伸長ポリグルタミンタンパク質によるアポトーシスの抑制機構について検討した。 その結果、(1)97個のポリグルタミンとGFPの融合タンパク質(polyQ97)をCOS-7細胞に導入すると、polyQ97は細胞全体に発現するとともに、経時的に凝集体の形成が観察された。また、主に核内に凝集体を形成した細胞においてアポトーシスの誘導が認められた。(2)polyQ97とHsp105を共導入すると、polyQ97の核内凝集体が減少し、同時にアポトーシスの誘導も抑制された。(3)Hsp105αとHsp105βはそれぞれ細胞質および核に局在するが、polyQ97との共発現によりHsp105αは核にも局在した。(4)しかし、Hsp105αとHsp105βの核移行シグナル変異体は単独およびpolyQ97との共発現時にも細胞質に存在し、polyQ97の核内凝集体形成とアポトーシス誘導を抑制できなかった。(5)Hsp105βはHsp70の発現を誘導したが、Hsp105αはHsp70の発現を誘導しなかった。しかし、Hsp105αはpolyQ97との共発現によりHsp70の発現を誘導した。 以上の結果、Hsp105はpolyQ97の核内での凝集体の形成を抑制することによりアポトーシスを抑制すること、またこの抑制にはHsp105の核移行が必須であり、Hsp105がpolyQ97と直接、または誘導されたHsp70が間接的に作用している可能性を明らかにした。これらの結果は、ポリグルタミン病における神経細胞死を抑制する治療薬の開発のための一つの作用点を明らかにしたものであり、今後の発展が期待される。
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Research Products
(3 results)