2005 Fiscal Year Annual Research Report
感覚性ニューロパチーによる痛覚鈍麻の神経再生・栄養因子を用いた遺伝子治療の研究
Project/Area Number |
17590906
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
村上 龍文 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (30330591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂田 芳秀 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00240713)
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Keywords | 糖尿病性ニューロパチー / 感覚性ニューロパチー / 遺伝子治療 / 電気穿孔法 / 痛覚鈍麻 / VEGF / PGF |
Research Abstract |
#1.P1GF2とVEGF120による感覚性末梢神経炎の遺伝子治療 1.PIGF2とVEGF120の発現ベクターの作成 ヒト胎盤cDNAライブラリーよりPCRでP1GF2cDNAを増幅し、塩基配列を確認後、発現ベクターpCAGGSに組み込んだ。同様にマウス骨格筋cDNAライブラリーよりマウスVEGF120をクローニングした。 2.痛覚鈍麻を有する糖尿病マウスへの遺伝子導入 ストレプトゾトシン(STZ)で誘発した1型糖尿病マウスモデルの痛覚閾値をpaw-pressure試験で測定し痛覚鈍麻が生じていることを確認した。このマウス前脛骨筋に作成した2種類のプラスミドDNAとコントロールのpCAGGSを各々筋注後、電気刺激装置でパルス電位を加え遺伝子を導入し、2〜4週後に痛覚閾値をpaw-pressure試験で測定し痛覚鈍麻が改善するかを調べた。VEGF120遺伝子を導入したものでは痛覚閾値の改善は認められなかった。VEGF120の発現は、導入1週間後に前脛骨筋をhomogeneizingし、ELISA法でVEGFを確認したところ、コントロールに比し10倍ほどの上昇を認めた。VEGF120はflt-1とflk-1に働き、nrp-1とは結合しないことから、痛覚鈍麻の改善にはnrp-1受容体が重要なことを示唆している(J Gene Med, in press)。次にflt-1とnrp-1に働き、flk-1に結合しないPGF2遺伝子を発現させると、2〜3週後に有意な痛覚閾値の改善を認めた。この結果は痛覚鈍麻の改善にはnrp-1受容体が必要なことを直接的に示している。 #2.VEGF164遺伝子治療での痛覚鈍麻改善機序の解明:糖尿病マウス後根神経節の遺伝子発現変動の解析 痛覚鈍麻を有する糖尿病マウスと正常マウスの後根神経節よりtotal mRNAを抽出した。このmRNAを用い、フィルジェン社のマウスDNAマイクロアレーで、約32000の遺伝子を調べ、発現変動がある遺伝子をスクリーニングした。その結果443個が3倍以上の発現上昇、848個が3分の1以下の発現低下を示した。この中には痛覚に関与すると思われる受容体やシグナル伝達分子も含まれていた。今後これらの分子を解析予定である。
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Research Products
(1 results)