2005 Fiscal Year Annual Research Report
運動ニューロン選択的変性を誘導する変異型SOD1の細胞種別毒性の解析
Project/Area Number |
17590907
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
舘野 美成子 国立精神・神経センター, 疾病研究第五部, 室長 (50332325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 敏之 国立精神・神経センター, 疾病研究第五部, 部長 (70263275)
高橋 良輔 京都大学, 医学部, 教授 (90216771)
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Keywords | ALS / SOD1 / 神経変性疾患 / 異常タンパク仮説 |
Research Abstract |
家族性ALSの原因遺伝子産物である変異型SOD1タンパクが脊髄運動ニューロンに及ぼす細胞毒性(1,2)と、変異型SOD1を発現するグリア細胞が隣接する運動ニューロンの変性を促進するメカニズム(3)を総合的に理解するために、変異型SOD1トランスジェニックマウスを用いて平成17年度は下記のことを解析した。 1.SOD1構造異常体の軸索輸送機構について 発症に先行して脊髄運動ニューロン軸索内を順行性に移動するSOD1構造異常体(毒性型)の輸送機構を解明するために、軸索中のSOD1構造異常体と特異的に結合している輸送モーター分子を同定した。マウスの脊髄抽出液をNycodenz密度勾配遠心法により分画し、SOD1構造異常体(毒性型)を正常SOD1から分離・濃縮した。この濃縮分画を抗SOD1抗体を用いて免疫沈降したところ、特定のKinesinの構成サブユニットが共沈すること、さらにそれらのKinesinサブユニットの抗体を用いた免疫沈降でSOD1構造異常体が共沈することを観察した。よってSOD1構造異常体はこれらのKinesinとの相互作用により軸索輸送される可能性が強く考えられる。 2.SOD1構造異常体軸索輸送による細胞毒性 SOD1構造異常体が特定のKinesinと結合する場合、そのKinesinと本来の輸送担体との結合を拮抗阻害する可能性が考えられる。そこでさまざまな月齢のマウスから脊髄神経前根(脊髄運動ニューロンの軸索束)を摘出し、種々の担体の軸索内輸送量を解析した。構造異常体と結合するKinesinの担体の1種の輸送量は構造異常体の輸送と相関して減少しており、よってSOD1構造異常体の運動ニューロンに対する細胞毒性として特定の担体の軸索輸送障害が示唆された。 3.隣接細胞による運動ニューロン障害効果の解析 脊髄無固定凍結組織からレーザーマイクロダイセクション法により切り出したサンプルでは、細胞質の可溶性タンパクは大幅に失われることがわかった。これは切片処理(特に洗い)の過程で溶出することが原因と考えられるが、当初予定していた炎症反応に関わる各種サイトカイン等の解析は困難で、解析対象をユビキチン化タンパクに重点化することとする。
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