2005 Fiscal Year Annual Research Report
運動ニューロン変性疾患モデルの病態解明と治療法の開発に関する研究
Project/Area Number |
17590908
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
渡部 和彦 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (30240477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳 清光 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (00134958)
川添 陽子 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (60281705)
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Keywords | 運動ニューロン / 顔面神経 / 運動神経損傷 / 筋萎縮性側索硬化症 / 神経幹細胞 / 神経組織培養 |
Research Abstract |
本課題は,運動神経損傷や筋萎縮性側索硬化症(ALS)をはじめとする運動ニューロン疾患に焦点をあて,運動ニューロンの変性脱落に対する治療法の開発について基礎的な研究を行うことを目的としている.近年の脳室周囲・嗅神経系および海馬歯状回における内在性神経幹細胞の解析により,成熟した脳でも神経再生が起こる可能性が指摘されている.一方,脳病変に伴ってそれ以外の部位,たとえば大脳新皮質や線条体でも神経幹細胞が出現増殖することが知られている.今年度は,成体ラット顔面神経引き抜き損傷における顔面神経核運動ニューロン死に伴って内在性神経幹細胞が出現増殖することを見出した.3ヶ月齢雄ラット右顔面神経を引き抜き除去2週後から運動ニューロン死が明らかとなり,nestin陽性の神経幹細胞が出現増殖した.運動ニューロン死の明らかでない神経切断ではnestin陽性細胞の出現はみられなかった.一方,正常顔面神経核を含む腹側脳幹組織からFGF2,EGF存在下でneurosphereを増殖させ,6ヶ月以上にわたり神経幹細胞を継代培養しうることを見出した.また,顔面神経引き抜き損傷を加えた組織からはより大量の神経幹細胞培養が得られることがわかった.この神経幹細胞はレチノイン酸存在下でニューロン,アストロサイト,オリゴデンドロサイトに分化した.本実験モデルは成体脳における内因性神経幹細胞増殖分化の解析に有用であり,in vitro, in vivo両面での神経幹細胞の増殖分化を促進する薬剤などのスクリーニングに応用することにより神経変性疾患に対する再生医療の開発に寄与しうると考えられる.
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