2007 Fiscal Year Annual Research Report
運動ニューロン変性疾患モデルの病態解明と治療法の開発に関する研究
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17590908
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
渡部 和彦 Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (30240477)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小柳 清光 財団法人東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (00134958)
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Keywords | 運動ニューロン / 顔面神経 / 運動神経損傷 / 筋萎縮性側索硬化症 / 神経前駆細胞 / 神経組織培養 |
Research Abstract |
本課題は,運動神経損傷や筋萎縮性側索硬化症(ALS)をはじめとする運動ニューロン疾患に焦点をあて,運動ニューロンの変性脱落に対する治療法の開発について基礎的な研究を行うことを目的としている.我々は成体ラットに顔面神経引き抜き損傷を加えると顔面神経核の運動ニューロン死がおこり,4-6週間の経過で運動ニューロン数が20%にまで減少することを報告してきたが,この運動ニューロン死に伴ってnestin陽性の内在性神経前駆細胞が出現増殖することを見出した.また,正常顔面神経核を含む腹側脳幹組織からneurosphereを増殖させ,6ヶ月以上にわたり神経前駆細胞を継代培養でき,顔面神経引き抜き損傷を加えた組織からはより大量の神経前駆細胞培養が得られることがわかった.引き抜き損傷後のFGF2組換えアデノウイルスの局所接種によりnestin陽性細胞が増加した.本実験モデルは成体脳における内在性神経前駆細胞増殖分化の解析や損傷脳に対する再生医療の開発に有用と考えられる.一方,成体ラットの顔面神経切断または引き抜き損傷による運動ニューロン変性脱落モデルを作製し,cDNAオリゴマイクロアレイを用いて損傷によるmRNAの発現変化を経時的・網羅的に解析した.各群の遺伝子プロファイリングは終了しており,今後,損傷によって変動する個々の遺伝子の発現形式を定量PCRやin situ hybridizationで確認し,蛋白レベルの発現を解析していくことにより,運動ニューロン変性の鍵を握る遺伝子の探索につなげていきたい.
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