2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳主幹動脈閉塞症における神経細胞障害の病態とその予防に関する研究
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17590910
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Research Institution | Research Institute, Shiga Medical Center |
Principal Investigator |
山内 浩 滋賀県立成人病センター(研究所), 画像研究部門, 総括研究員 (40360812)
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Keywords | 脳主幹動脈閉塞症 / 選択的神経細胞障害 / ベンゾジアゼピン受容体 / ポジトロンCT / 脳虚血 / 脳梗塞 |
Research Abstract |
まず,脳主幹動脈閉塞症における選択的神経細胞障害の発生機序について検討した.脳主幹動脈のアテローム血栓性閉塞により局所脳組織灌流圧が低下して生じる血行力学的脳虚血が選択的神経細胞障害を引き起こすことをヒトで直接証明した報告はない.内頸動脈閉塞性疾患には、脳主幹動脈の最も遠位の血管床に位置するため組織灌流圧が低下しやすい境界領域に生じる境界領域梗塞が多く見られ、血行力学的発生機序が示唆されている.血行力学的脳虚血が,境界領域梗塞を引き起こすと同時に,梗塞領域を越えた大脳皮質領域においてbenzodiazepine受容体低下として検出される選択的神経細胞障害を引きおこすという仮説を検証する目的で,頭蓋外内頸動脈に60%以上の狭窄または閉塞を有する患者62名を対象とし,慢性期に,PETと^<11>C-Flumazenilを用いて中枢性benzodiazepine受容体密度を求めた.MRIにて虚血性病変のタイプ(皮質境界領域梗塞,その他の皮質梗塞,皮質下境界領域梗塞,線条体内包梗塞,ラクナ梗塞,およびその他の白質梗塞)を評価し,benzodiazepine受容体密度の血管病変側半球大脳皮質平均値(小脳比)(梗塞巣を除く)との関連を検討した.境界領域梗塞のある患者群(18名)では,ない患者群(44名)および健常群(10名)と比較して,大脳皮質benzodiazepine受容体密度が有意に低下していた.多変量解析により,皮質境界領域梗塞が,benzodiazepine受容体密度低下の独立した予測因子と判明した.選択的神経細胞障害と境界領域梗塞との関連は,境界領域梗塞を引き起こした血行力学的脳虚血が原因で,選択的神経細胞障害が生じたことを示唆している.この結果は,ヒト脳主幹動脈閉塞症でも,動物実験で示されたように,脳梗塞が起こるよりも軽度の虚血により選択的神経細胞障害が生じることを示している.
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