2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病ラットバルーン傷害におけるp38活性阻害による内膜肥厚と糖代謝への効果
Project/Area Number |
17590913
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
富永 真琴 山形大学, 医学部, 教授 (90107194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 雅彦 山形大学, 医学部, 助教授 (70272078)
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Keywords | 糖尿病 / 動脈硬化症 / p38 / MAP kinase / FR167653 / インスリン抵抗性 / NO / Wistar fatty rat |
Research Abstract |
本研究では,P38 MAP kinase(P38)の活性阻害が糖尿病性大血管障害の発症に加え進展予防にも有効な治療法となる可能性を明らかにするために,2型糖尿病モデル動物で肥満とインスリン抵抗性,高血糖を有するWistar fatty rat(WF)の総頸動脈バルーン傷害モデルを用いて検討した. 12週齢のWFとlitternateのWistar lean rat(WL)のバルーン傷害において,p38活性阻害薬FR167653(FR)30mg/kg/日経口投与群(FR群)では内膜肥厚面積は有意に抑制され,血糖とインスリン値,収縮期血圧値も有意な低下と体重減少が認められ,アディポネクチン値は有意に増加した.また,FR群のWFでは経口糖負荷試験により負荷後の血糖とインスリン値は低下した.しかし,食餌摂取量はFR投与の有無による差はなかった.大動脈では,WFの対照群ではWLに比べp38, ERK1/2, JNK, Rb, CREBのリン酸化とPCNAの発現が亢進していたが,WFのFR群ではこれらはいずれも低下した.また,WFのFR群ではeNOSの発現亢進が認められた.さらに,培養血管平滑筋細胞(VSMC)では,thrombinやPDGF-BB, TNF-αなどの刺激によるcyclooxygenase-2の発現と細胞遊走能,アラキドン酸遊離能の上昇は,いずれもFR添加により低下した. 以上より,p38活性阻害薬FRがWFの生体内での代謝を亢進させ,糖代謝やインスリン抵抗性を改善し,血圧低下と体重減少,動脈硬化症の進展抑制をもたらしたものと考えられ,MetSの治療薬として有用である可能性が示された.
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