2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋細胞応答に対するリポ蛋白中の脂質性シグナル分子の役割の解明
Project/Area Number |
17590914
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
戸村 秀明 群馬大学, 生体調節研究所, 助教授 (70217553)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡島 史和 群馬大学, 生体調節研究所, 教授 (30142748)
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Keywords | LDL / HDL / リゾフォスファチジン酸 / スフィンゴシン1リン酸 / 平滑筋細胞遊走 / 平滑筋細胞増殖 / LPA1 / S1P2 |
Research Abstract |
血漿リポ蛋白は、血管機能、動脈硬化症と密接に関連している。我々は、脂質性シグナル分子であるスフィンゴシン1リン酸(S1P)、リゾフォスファチジン酸(LPA)の研究を通じ、これら脂質性シグナル分子がLDL, HDLなどリポ蛋白に濃縮して存在することを示してきた。そこで、「アンチ動脈硬化作用にはリポ蛋白中のS1Pが、動脈硬化促進作用にはリポ蛋白中のLPAが関与している」との仮説をたて、本研究を計画した。本年度は、ヒト冠動脈平滑筋細胞(CASMC)の遊走、増殖応答に対するLDL、HDL中に含まれるLPA, S1Pの作用を検討した。CASMCの増殖、遊走応答はLDLの添加によって引き起こされた。またこれらの応答は、百日咳毒素のよるGi蛋白の不活性化や、LPAなどを分解するリパーゼ処理により遮断された。よって、LDL中に含まれるLPAがLPA受容体を刺激して、CASMCの遊走、増殖応答を引き起こしていることが考えられた。そこで、どのLPA受容体サブタイプがこれらの応答に関与しているかどうかを、我々が開発に携わってきたKi16425を含むLPA受容体アンタゴニストを用いて検討した。その結果、LPA1受容体がこれら応答に関与する受容体であることが示された。さらにLPA1受容体に対するsiRNA処理によっても、これら遊走、増殖応答が減弱することを確認した。これらの結果は、LDL中のLPAが平滑筋細胞のLPA1受容体を刺激して遊走、増殖など動脈硬化促進作用を引き起こしている可能性を示している。一方、HDLは血小板由来増殖因子(PDGF)によるCASMCの遊走応答を制御した。この抑制作用はS1P受容体サブタイプの一種であるS1P2に対するsiRNA処理によって減弱したことから、HDLはHDL中のS1PがS1P2受容体を介して、アンチ動脈硬化作用を発揮している可能性が示唆された。
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Research Products
(10 results)