2005 Fiscal Year Annual Research Report
抗老化遺伝子SIRT1の機能解明とその成果の糖尿病性腎症に対する応用
Project/Area Number |
17590925
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
古家 大祐 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70242980)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 酸化ストレス / H2O2 / アポトーシス / SIRT1 |
Research Abstract |
カロリー制限と寿命の研究から特定された抗老化遺伝子であるサーチュイン(sirtuin、ヒトではSIRT1)は、カロリー制限の結果生じる細胞内NAD/NADH比の増加によって活性化される。 本研究では、抗老化戦略の中心的な役割を果たしているサーチュインを中心に、糖代謝異常におけるサーチュインの発現・活性と機能解析を行い、ついで、マウス血清のプロテインチップ解析によるサーチュインの発現に関わる新規分子の同定と、その分子の糖尿病性腎症に対するin vivo効果を明らかにすることを目的とした。 (1)レトロウイルスを用いて樹立したsirtuinの強発現およびノックダウン細胞を樹立し、酸化ストレスに対する腎メサンギウム細胞のアポトーシスを検討した。その結果、H2O2濃度依存性に、DAPI染色、caspase-3活性化、PARP活性化、p53アセチル化によって評価したアポトーシスが生じた。また、それら異常はsiRNA SIRT1細胞にて増強されたが、SIRT1過剰発現によって消失した。さらに、H2O2によるメサンギウム細胞のアポトーシスは、主としてp53が関与していることを見出した。一方、MAPKファミリーもH2O2により活性化されるが、SIRT1による影響は見られなかった。 (2)2型糖尿病モデルdb/dbマウスにおいて、CR(-30%摂取)によりSIRT1発現の増強とともに、通常食db/dbマウスに腎アポトーシスマーカー(p53アセチル化、PARP活性化、caspase-3活性化)が抑制されていた。 以上の結果から、腎メサンギウム細胞においてSIRT1が酸化ストレスに対して抗アポトーシス作用を発揮することが明らかとなった。
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