2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗老化遺伝子SIRT1の機能解明とその成果の糖尿病性腎症に対する応用
Project/Area Number |
17590925
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
古家 大祐 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70242980)
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Keywords | 糖尿病性腎症 / Smad7 / p53 / アポトーシス / SIRT1 / プロテオミクス |
Research Abstract |
カロリー制限と寿命の研究から特定された抗老化遺伝子であるサーチュイン(sirtuin、ヒトではSIRT1)は、カロリー制限の結果生じる細胞内NAD/NADH比の増加によって活性化される。 本研究では、抗老化戦略の中心的な役割を果たしているサーチュインを中心に、腎構成メサンギウム細胞の機能異常に対するサーチュインの意義を分子生物学的に検討を行い、ついで、カロリー制限マウスの血清を用いたプロテインチップ解析によるサーチュインの発現に関わる新規分子の同定を目的とした。 (1)レトロウイルスを用いて樹立したsirtuinの強発現およびノックダウン細胞を樹立し、Smad7に対する腎メサンギウム細胞のアポトーシスを検討した。その結果、Smad7の過剰発現によって、DAPI染色、caspase-3活性化、PARP活性化、P53アセチル化によって評価したアポトーシスが生じた。また、それら異常はsiRNA SIRT1細胞にて増強されたが、sIRT1過剰発現によって消失した。さらに、SIRT1による抗アポトーシス作用は、主としてSmad7の脱アセチル化とproteosomeを介した分解が関与していることを見出した。 (2)2型糖尿病モデルdb/dbマウスにおいて、CR(-30%摂取)と通常食により8週間飼育後、摘出した腎臓抽出液を用いてSIRT1発現とともに、プロテインチップによる蛋白発現解析を行った。その結果、カロリー制限マウスにおけるSIRT1発現の増強とともに、有意な発現の差がみられた1l3ピークから、ノイズピーク、個体差の補正によって、発現の低下する2ピーク、増加する22ピークを見出し、現在、同定を行っている。 以上の結果から、腎メサンギウム細胞においてSIRT1はSmad7の脱アセチル化を介して抗アポトーシス作用を発揮することが明らかとなった。また、カロリー制限によって、腎臓において有意に増加する蛋白群を見出した。
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[Journal Article] SIRTl inhibits TGFbeta -induced apoptosis in glomerular mesangial cells via Smad7 deacetylation.2007
Author(s)
Kume S, Haneda M, Kanasaki K, Sugimoto T, Araki SI, Isshiki K, Isono M, Uzu T, Guarente L, Kashiwagi A, Koya D
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Journal Title
J Biol Chem 282
Pages: 151-8