2006 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドローム病態形成におけるプロテインホスファターゼ2Aの役割
Project/Area Number |
17590927
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
卯木 智 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (20378483)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 聡 滋賀医科大学, 医学部, 助教授 (00209363)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン抵抗性 / ホスファターゼ / 遊離脂肪酸 |
Research Abstract |
【高遊離脂肪酸血症によるインスリン抵抗性の分子機構の解明とその臓器特異性】 昨年の我々の検討から、脂肪細胞のモデル細胞である3T3-L1細胞において、パルミチン酸(PAL)およびC2セラマイド孵置によりインスリン抵抗性が惹起されたが、その作用点として、インスリン受容体、IRS-1のリン酸化およびPI3キナーゼ活性には影響がなかったことより、Aktレベルであると考えられた。セラマイド合成阻害剤であるミリオシン孵置はPALの効果を消失させた。さらに、セラマイドの合成基質とならないミリスチン酸(MYR)やオレイン酸はインスリン抵抗性を惹起しなかった。以上の結果よりFFAを基質として細胞内でde novo合成されるスフィンゴ脂質の一つであるセラマイドがインスリン抵抗性の原因であることが示唆された。さらに、Akt活性の抑制機序として、細胞内セラマイド合成亢進を介して、PP2A活性を直接刺激し、Aktを脱リン酸化することを見出した。 一方、肝臓のモデル細胞であるFao細胞においてもPALとC2セラマイドはAktリン酸化を抑制したが、PP2A活性化は伴わず、オカダ酸の抑制効果も認めなかった。さらに、MYRでもインスリン抵抗性が惹起された。さらに、筋肉細胞のモデル細胞であるL6細胞においては、PAL、MYRとC2セラマイドによりAktリン酸化を抑制したが、これは、オカダ酸により解除された。以上のことより、FFAによるインスリン抵抗性惹起機構は、単一ではなく、各臓器において異なることが示唆された。
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