2005 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞グリセロールチャネル・アクアポリンアディポースの生活習慣病における意義
Project/Area Number |
17590930
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90252668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60243234)
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20332736)
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Keywords | アクアポリン / グリセロール / ノックアウトマウス / 肥満 / 生活習慣病 / グリセロールキナーゼ / インスリン抵抗性 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
これまでの研究により、私たちがクローニングしたAQPap(AQP7)が脂肪細胞におけるグリセロールチャネルとして機能し(JBC 2000)、本分子の発現が絶食で増加、摂食で低下すること、インスリンにより抑制されることを明らかにした(JBC 2001)。また、摂食下では血中インスリンの上昇により脂肪細胞AQPap、肝臓でのグリセロールチャネル分子AQP9はともに発現が低下するが、肥満動物ではインスリン抵抗性があり両チャネルの抑制がかからず、高グリセロール血症が持続し糖代謝異常が発症することを明らかにしている(Diabetes 2002)。さらに、AQPap欠損マウスの作製に成功し、AQPapが生体内においてグリセロールの恒常性に直接大きく関与しており、さらに、欠損マウスは絶食状態において著明な低血糖を呈し、肝糖新生の基質として脂肪細胞由来のグリセロールが非常に重要であることを実証した(PNAS 2004)。 本研究では、さらに、AQPapが生活習慣病の基盤病態である肥満に関与するのかどうかを検討した。野生型(WT)と欠損マウス(KO)を比較すると、10週齢までは体重に差を認めなかったが、12週齢以降はWTに比しKOでは有意に体重及び体脂肪量は増加していた。WTに比べKOの脂肪細胞はより大きく中性脂肪含量も高値であった。さらに、2型糖尿病を誘発する高脂肪・高ショ糖食をWTおよびKOに与え、経時的に観察したところ、若年齢よりKOでは肥満とインスリン抵抗性の増悪が認められた。このメカニズムには、AQPap欠損時に、脂肪細胞におけるグリセロールキナーゼ活性が増加することが関与しており、このために、脂肪細胞の肥大・増加が生じることが示唆された(PNAS,2005)。また、これらAQPap(AQP7)に関連する私たちの一連の業績について、Nature誌11月号のNews&Viewsに紹介された。
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