2006 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞グリセロールチャネル・アクアポリンアディポースの生活習慣病における意義
Project/Area Number |
17590930
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90252668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60243234)
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20332736)
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Keywords | アクアポリン / グリセロール / ノックアウトマウス / 肥満 / 生活習慣病 / Foxo1 / IRE1 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
前年度の本研究におけるAQPap欠損(KO)マウスの解析により、AQPapが生活習慣病の某盤病態である肥満に関与し、そのメカニズムには、AQPap欠損時に脂肪細胞におけるグリセロールキナーゼ活性が増加することにより、脂肪細胞の肥大・増加が生じることが明らかとなった(PNAS 2005)。 さらに、本年度は、AQPapの機能解析を進め、AQPapが脂肪細胞の分化に及ぼす影響を調べた。野生型(WT)およびAQpap KOマウスの白色脂肪組織からstromal vascular cell(SVC)を単離し、脂肪細胞に分化させた。分化誘導後2、4、6日目においてそれぞれoil red O染色およびPPARγ遺伝子発現を検討したが、WTおよびKO由来SVC脂肪細胞間では明らかな差は見られなかった。また、エピネフリン誘発性脂肪分解時には、KO由来SVC脂肪細胞において有意に培地中グリセロール濃度が低下していた。以上のことから、AQPapは脂肪細胞の分化には影響を与えずに、グリセロールチャネルとして機能していることが明らかになった。また、ヒトAQPap、AQP9の遺伝子変異・多型解析については、肥満症症例ならびに2型糖尿病症例のAQPapおよびAQP9遺伝子変異・多型解析、および血中グリセロール濃度を測定中である。さらに、AQpap、AQp9の転写調節機構の解析では、3T3-L1脂肪細胞や293細胞を用いて、AQPapプロモーターに影響を及ぼす因子を検討した結果、フォークヘッド型転写因子Foxo1を同定することが出来た。Foxo1発現ベクターの感染量に応じて、AQPapプロモーター活性は上昇した。さらに、Foxo1を特異的に抑制するRNAiにより、その活性はRNAi用量依存性に低下した。また、Gel shift assayによりFoxo1はAQpapプロモーター上のinsulin response element(IRE)1に結合することが確認できた。 これら私たちの一連の業績について、Nature誌2005年11月号のNews & Viewsに紹介され、さらに、AQPsとグリセロール代謝に関するReviewをBBA誌2006年1月号に発表するに至った。
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