2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590933
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内田 亨 神戸大学, 大学院・医学系研究科, COE研究員 (90397828)
|
Keywords | 糖尿病 / 膵島新生 / 細胞周期 / インスリン |
Research Abstract |
膵β細胞数は個体のインスリン抵抗性に応じて増加し、より多くのインスリンを分泌することで、糖尿病への進展を抑制しようとする働きを有している。膵β細胞数の増加不全は、インスリン抵抗性代償機転の崩壊をきたす重要な因子の一つである。細胞周期抑制蛋白p27^<Kip1>(p27)は糖尿病発症過程での膵β細胞に蓄積しその増殖に重要な働きを有しているが、細胞死・分化に対しての働きは認められなかった。糖尿病マウスの膵管上皮細胞に於いて、p16^<INK4a>(p16)という別の細胞周期抑制因子の発現が亢進していることを見出し、膵管上皮からの膵β細胞への分化過程において役割を有しているのではないかと考えた。この蛋白の機能を解析する目的で、IRS2ノックアウトマウスとp16ノックアウトマウスを交配し、表現系の解析を行った。IRS2ノックアウトマウスは生後10週頃膵β細胞数の減少により糖尿病を発症し、20週頃には死亡した。このマウスにおけるp16ノックアウトは糖尿病の発症を遅延させ、多くのマウスは生後40週以上生存した。しかし、p27ノックアウトが完全に糖尿病を抑制したことに比べると、p16ノックアウトの効果は限定的であった。IRS2ノックアウトマウスの糖尿病発症はp27+/-で遅延させることができるが、24週頃にはその半数が糖尿病を発症し、死亡する。この表現型に対するp16+/-の効果を解析してみると、IRS2-/-p27/-p16+/-マウス全て(n=8)が24週でも糖尿病を発症せず生存した。このことより、p16はp27と異なる作用を有していることが推定され、更にその作用機序について解析を行っている。p27ノックアウトにより様々な腫瘍が発生するのに対し、p16ノックアウトにはそのような表現系は見られなかった。糖尿病治療を考えた時、p16阻害剤はより安全な治療薬となり得ると考えている。
|