2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590933
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内田 亨 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助手 (90397828)
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Keywords | 糖尿病 / 膵島新生 / 細胞周期 / インスリン |
Research Abstract |
終末分化器官である膵β細胞は細胞周期を有しているが、p27^<KIP1>(p27)は糖尿病(膵β細胞不全)発症の過程で蓄積し、細胞周期を抑制することで代償性増殖を抑制し、その発症機転に関与していることが明らかになりつつある。今回注目したp16^<INK4a>(p16)は、最近、高齢マウスでの膵β細胞数の調節に重要であることが示されたが、私は膵管由来の膵β細胞新生において重要な役割を有しているのではないかと考えている。p16ノックアウトマウスの膵臓では、膵島密度が最も著明に増加しており、そのため膵β細胞数が増加していた。しかし、膵島密度の増加が膵島新生によるものであるという証拠を得ることが困難であり、膵島新生を定量的に評価する方法が未だ確立できないでいる。培養細胞系においても、膵管由来細胞のβ細胞への分化を安定して再現することができず、また、p16のノックダウンや過剰発現も困難であった。Insulin receptor substrate 2(IRS2)は膵β細胞のみならず膵管上皮細胞にもよく発現し、そのノックアウトマウスでは膵島サイズ、β細胞サイズ、膵島密度など様々な指標が低下し、膵β細胞量は著明に低下している。このマウスでp27をノックアウトすると膵島サイズが上昇し、膵島密度は変わらないが、更にp16をノックアウトすると膵島密度の上昇も認められ、p16がより特異的に膵島密度を調節していることが伺える。さらに表現型でも、30週までに糖尿病を発症する確率は、IRS2-/-(18/19)、IRS2-/-p27-/-(0/8)、IRS2-/-p27+/-(10/19)、IRS2-/-p27+/-p16+/-(0/9)、IRS2-/-p16-/-(9/14)であり、p16+/-はp27+/-で改善できなかったIRS2-/-の表現型を改善した。よって、p16は比較的若年期においてもp27と異なる機序で膵β細胞機能維持に関与していると推定された。今後、その機序が膵島新生にあるのかどうか更に追求しなければならない。
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