2006 Fiscal Year Annual Research Report
冠動脈疾患患者におけるインスリン抵抗性と脂質代謝異常症の包括的解明
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17590949
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
池脇 克則 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教授 (40287199)
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Keywords | 安定同位体 / リポ蛋白 / アポ蛋白 / インスリン抵抗性 / スタチン |
Research Abstract |
本研究の目的は、冠動脈疾患を合併したメタボリック症候群患者を対象として、安定同位体ラベルのトレーサーを使ったリポ蛋白、中性脂肪、糖代謝の包括的な検討(トリプルトレーサー実験)をおこない、それぞれの代謝異常と相互作用について明らかにすることある。また、現在のガイドラインではスタチンが治療の第一選択薬となっている。そこで、スタチンのメタボリックシンドローム患者でのリポ蛋白、糖質代謝に及ぼす効果についても検討した。メタボリックシンドローム患者6名に対して、まずトリプルトレーサー実験を施行した。VLDLアポ蛋白B濃度は43%減少したがその原因は39%の異化の促進と23%の合成低下の両方によるものであった。IDLアポ蛋白B濃度は44%低下したがその原因は44%と有意の異化促進によるものであった。IDLアポ蛋白B合成は全く変化を認めなかった。LDLアポ蛋白B濃度は33%と有意に減少したがその原因は63%と著明な異化の促進によるものであった。IDLアポ蛋白Bと同様、LDLアポ蛋白B合成は不変であった。ピタバスタチンによってVLDL TGは63%異化が亢進、23%合成が低下した。ピタバスタチンは、glucose sensitivity、insulin sensitivityに対して有意の影響を与えなかった。インスリン感受性とその他の代謝パラメーターとの相関を検討した結果、ベースラインではインスリン感受性はVLDL TG異化速度と強い正の相関関係を認めた(r=0.895,p=0.04)が、その他のパラメーターとは有意の相関関係を示さなかった。また治療前後の%変化の検討では、インスリン感受性の%変化がVLDLアポ蛋白B異化速度の%変化と正の相関関係の傾向を示した(r=0.777,p=0.07)。以上から、安定同位体を使った包括的検討から、インスリン感受性をVLDL代謝との関連性が示された。また、強力な脂質低下作用のあるスタチンはメタボリックシンドロームの脂質代謝以上に対して有効であることが示唆された。
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Research Products
(6 results)