2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590951
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
大久保 実 Okinaka Memorial Institute for Medical Research, 研究員 (60241238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荏原 徹 冲中記念成人病研究所, 研究員 (40307004)
村勢 敏郎 冲中記念成人病研究所, 研究員 (60107612)
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Keywords | 遺伝学 / 内科 / 脂質 / 代謝症候群 / LPL / HL / 動脈硬化 |
Research Abstract |
本年度は、代謝症候群の脂質代謝異常の特徴である高トリグリセリド(TG)血症、特にその発症メカニズムについて検討した。トランスポゾンによりリポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子に欠失が生じて起こった高TG血症(ケース1)や、不活性な変異LPL蛋白が血中に存在するために起こった高TG血症(ケース2)や、HL活性低下による高TG血症(ケース3)などを明らかにした。ケース1:ヘパリン靜注後血漿(PHP)中のLPL活性は測定感度以下で、さらにLPLの蛋白量も測定感度以下であった。Southern解析によりLPL遺伝子に大きな欠失が示唆された。LPLの塩基配列を調べると、イントロン1のAT-rich領域と、イントロン2のAlu配列の間に約2.4kb(エクソン2を含む)の遺伝子欠失が起こっていた。同時に、breakpointには異なるAlu配列が挿入されていた。こうしたAlu配列が関与した欠失-挿入が、高TG血症の原因であった。ケース2:PHP中のLPLの蛋白量が正常の約1/5に低下していた。一方、LPL活性は測定感度以下であった。LPLの塩基配列を調べると点変異があり、188番目のアミノ酸がグルタミン酸に置換した変異LPLであることが判明した(G188E)。この活性を失った変異LPL蛋白が高TG血症の原因であった。ケース2では動脈硬化が進行している所見はみられなかった。ケース3:PHP中の肝性リパーゼ(HL)が低下していた。HL遺伝子の塩基配列を検索したところ、(1)点変異により334番目のアミノ酸がフェニールアラニンへ置換(L334F)、(2)プロモーター領域-514番目の多型(-514C→T)の両者が見つかった。これらが高TG血症の原因であった。
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Research Products
(8 results)