2005 Fiscal Year Annual Research Report
アディポネクチン欠損による高血圧・心血管リモデリング異常発症機序の解明
Project/Area Number |
17590960
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20332736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90252668)
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (60243234)
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Keywords | 遺伝子 / 内科 / 循環器・高血圧 / 糖尿病 / プロテオーム |
Research Abstract |
我が国において心血管疾患が急増している。我々は世界に先駆けて内臓脂肪の過剰蓄積が高血圧・糖代謝・脂質代謝異常を集積し、心血管疾患発症の基盤となっていることを報告してきた。この概念は世界的に注目されているメタボリックシンドロームそのものであり、その病態解明を目的としたヒト脂肪組織発現遺伝子解析からアディポネクチンを発見した。そして低アディポネクチン血症が、冠動脈疾患、糖尿病、高血圧に対する危険因子であることを明らかにした。本研究はアディポネクチン欠損マウスを用いて、高血圧・心血管リモデリング異常発症の分子機構を解明し、ヒト低アディポネクチン血症におけるこれら病態の発症機構解明を行うことを目的とするものである。 アディポネクチン欠損マウスは冠動脈の虚血再還流により、野生型対照マウスに比し有意な心筋梗塞巣の拡大を生じた。この現象はアディポネクチンのAMPキナーゼ経路を介した心筋細胞死抑制とCox-2経路を介したTNF-alpha産生抑制機構に基づくものであった。これらのモデルに、アディポネクチンを補充することにより、アディポネクチン欠損マウスの心筋梗塞巣は対照レベルに縮小し、野生型マウスにおいてもアディポネクチン血中濃度を2倍に増加させることで心筋梗塞巣はさらに縮小した。従ってアディポネクチン血中濃度が心筋梗塞の重症度を規定する因子の一つとなることが示された。また、アディポネクチンの新たな動脈硬化防御機構として、TNF-alphaによって増加する血管内皮細胞由来炎症性サイトカインであるIL-8産生をアディポネクチンが抑制することを明らかにした。 ヒトにおける検討では、喫煙が脂肪細胞の酸化ストレス増加を介してアディポネクチン血中濃度を低下させること、本態性高血圧症例においてアディポネクチン血中濃度を増加させる薬剤であるチアゾリジン誘導体が左室拡張能を改善することを明らかにした。 これらの研究成果は、アディポネクチンを介した、さらなる高血圧・心血管リモデリング異常発症の分子機構の解明と、ヒトにおける治療法の開発につながるものと期待される。
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Research Products
(4 results)