2006 Fiscal Year Annual Research Report
アディポネクチン欠損による高血圧・心血管リモデリング異常発症機序の解明
Project/Area Number |
17590960
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木原 進士 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20332736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 正 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (90252668)
船橋 徹 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (60243234)
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Keywords | 遺伝子 / 内科 / 循環器・高血圧 / 糖尿病 / プロテオーム |
Research Abstract |
我が国において心血管疾患が急増している。我々は世界に先駆けて内臓脂肪の過剰蓄積が高血圧・糖代謝・脂質代謝異常を集積し、心血管疾患発症の基盤となっていることを報告してきた。この概念は世界的に注目されているメタボリックシンドロームそのものであり、その病態解明を目的としたヒト脂肪組織発現遺伝子解析からアディポネクチンを発見した。そして低アディポネクチン血症が、冠動脈疾患、糖尿病、高血圧に対する危険因子であることを明らかにした。 本研究はアディポネクチン欠損マウスを用い高血圧・心血管リモデリング異常発症の分子機構を解明し、ヒト低アディポネクチン血症における病態発症機構解明を行うことを目的とするものである。アディポネクチン欠損マウスは食塩負荷により対照マウスに比し有意な収縮期血圧の上昇を生じた。この現象は大血管および腎臓におけるアディポネクチンの内皮型NO合成酵素誘導機構の作用不全に基づくものであった。このモデルにアディポネクチンを補充することによりアディポネクチン欠損マウスの血圧は対照レベルに低下し、肥満糖尿病モデルマウスにおいてもアディポネクチン血中濃度を増加させることで血圧は有意に低下した。従ってアディポネクチン血中濃度が血圧を規定する因子の一つとなることが示された。また、アディポネクチンの新たな制御機構として、降圧剤であるアンジオテンシン受容体拮抗剤が脂肪組織の酸化ストレスを低下させることでアディポネクチン血中濃度を増加させることを明らかにした。 ヒトにおける検討では、末梢動脈閉塞症における動脈硬化進展の指標や、慢性腎臓病における心血管イベント予測因子として、アディポネクチン血中濃度測定が有用であることを明らかにした。これらの研究成果はアディポネクチンを介したさらなる高血圧・心血管リモデリング異常発症の分子機構の解明と、ヒトにおける治療法の開発につながるものであると考えられる。
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Research Products
(6 results)