2005 Fiscal Year Annual Research Report
核内受容体Nurrlによるアルドステロン産生調節機構の検討
Project/Area Number |
17590966
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
柴田 洋孝 慶應義塾大学, 保健管理センター, 専任講師 (20245484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 佐紀子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80383727)
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Keywords | Nurr1 / アルドステロン / 副腎皮質 / SUMO化 |
Research Abstract |
# 核内受容体Nurr1のSUMO化酵素Ubc9,PIAS1によるアルドステロン産生調節 副腎皮質におけるアルドステロン合成酵素CYP11B2遺伝子の転写調節因子として、核内受容体Nurr1,COUP-TF,SF-1などが知られており、Nurr1はNBRE-1(-766/-759)およびAd5(-129/-114)に結合して転写活性化にはたらくことが知られている。申請者らは、蛋白質のSUMO化酵素Ubc9,PIAS1がCOUP-TFIのcoactivatorとしてCYP11B2発現を増加させることを以前に見いだしている。そこで、まずNurr1によるCYP11B2転写活性化において、Ubc9,PIAS1の役割を検討した。その結果、ヒト副腎由来H295R細胞において、Nurr1はCYP11B2遺伝子プロモーター領域のNBREおよびAd5の両シス配列に結合して転写活性化にはたらき、Ubc9,PIAS1はその活性を軽度増強することが示された。Nurr1とUbc9,PIAS1の間では蛋白-蛋白結合を認めるが、COUP-TFIと比べるとその間の結合は弱かった。 次に、Nurr1の中にあるSUMO化モチーフの変異体として、Nurr1のK91R,K577R,K91R/K577Rの3種類をsite-directed mutagenesisにより作製し、CYP11B2プロモーター配列を含むluciferase reporter assayを行った。その結果、野生型と比べていずれのSUMO化欠失変異体も有意な転写活性の差を認めなかつた。以上より、SUMO化酵素Ubc9,PIAS1はCOUP-TFIと同様にNurr1とも弱い蛋白-蛋白結合を認めるものの、CYP11B2転写に及ぼす有意な影響を認めず、さらにNurr1自体のSUMO欠失変異体の結果からもNurr1のSUMO化・脱SUMO化によるアルドステロン産生調節における有意な役割を認めなかった。 原発性アルドステロン症を示すアルドステロン産生副腎皮質腺腫において、Nurr1の高発現を認めることが報告されていることに基づいて、現在同副腎腺腫組織よりmRNAを調製し、そのcDNAとGal4-activation domainとの融合ライブラリーを作製中で、これを用いてNurr1結合蛋白をスクリーニングし、新たなNurr1を介したアルドステロン産生調節因子の同定が進行中である。
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