2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト甲状腺濾胞培養系におけるToll様受容体(TLR)の内分泌・免疫学的な役割
Project/Area Number |
17590967
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 幹二 東京女子医科大学, 医学研究科, 教授 (60138857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 孝男 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70090488)
鈴木 幸一 国立感染症研究所, 病原微生物部, 室長 (20206478)
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Keywords | Toll-like receptor 3 / double-stranded RNA / 1型インターフェロン / 甲状腺濾胞細胞 / 亜急性甲状腺炎 / 血管内皮細胞増殖因子 / 甲状腺血流量 / 無機ヨード |
Research Abstract |
一般に、われわれの体細胞に細菌やウイルスが感染すると、Toll-like receptor (TLR)系を介する自然免疫系が作動し、1型interferon系が活性化され、生体防御機構が発動する。これまで当研究室では、正常なヒト甲状腺細胞には2本鎖RNAを認識するTLR3が発現していることを、ヒトの全遺伝子を解析できるoligo-microarrayおよびreal-time PCR法にて立証してきた。さらに、ウイルス感染モデルとして用いられる2本鎖RNAを添加すると、1型IFN系が活性化され、同時に甲状腺機能(^<125>Iの取り込み、および^<125>I-T3+^<125>I-T4の培養液中への分泌)が抑制されることを日本甲状腺学会や米国甲状腺学会にて報告した。 この研究は、一本鎖RNAまたは2本鎖DNAウイルスなどのウイルスでも甲状腺細胞内にウイルスが侵入すると、細胞内で2本鎖RNAが生じるので、甲状腺機能は障害され、また1型IFN系が活性化されて、細胞性免疫が活性され、亜急性甲状腺炎が生ずることを示唆しており、臨床的意義が高く、米国の甲状腺専門医より高く評価されている。現在、専門誌(Endocrinology)に投稿中であり、より鮮明なTLR3の免疫染色写真を要求されている。最近、ようやく免疫組織化学的に鮮明な組織像を得ることができたので、確実にacceptされるものと思われる。 なお、我々の開発したヒト甲状腺濾胞の浮遊培養系は、血中濃度のヒトTSHに反応して、^<125>Iを取り込み、培養液中にde novoに合成された甲状腺ホルモン(125I-T3+125I-T4)を分泌できる。この理想的なバイオアッセイ系を用いて、大量の無機ヨードは,種々の血管内皮細胞増殖刺激因子(主としてVEGF-A)の産生を抑制し、血管内皮細胞の抑制因子を活性化することにより、血流量が減少するように作用することを見いだした。
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