2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトにおけるFGF-23の生理的および病態生理的役割の解明
Project/Area Number |
17590972
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
竹内 靖博 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員 (50202164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 章 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員 (20322646)
田口 学 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員 (00265141)
福本 誠二 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (30202287)
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Keywords | FGF-23 / リン代謝 / ビタミンD代謝 / tumoral calcinosis / 末端肥大症 |
Research Abstract |
我々は腫瘍性骨軟化症の惹起因子として腫瘍から過剰産生されるfibroblast growth factor(FGF)-23を同定した。その後の研究から、FGF-23の異常は広くリン・ビタミンD代謝障害に関わるのみならず、生理的なリン・ビタミンD代謝にも密接に関わっている可能性が明らかにされつつある。そこで、このFGF-23、と生理的なリン代謝との関連および種々の内分泌疾患や代謝性骨疾患におけるリン・ビタミンD代謝異常との関連を臨床的に明らかにすることを通して、そのヒトでの生理的役割を解明することを目的に本研究を開始した。その結果、以下の点が本年度の研究から明らかとなった。 1.Tumoral calcinosisにおけるFGF-23の異常の関与 Tumoral calcinosisの兄弟例においてFGF-23の遺伝子異常を同定し、その異常によりFGF-23蛋白の分解が亢進し、活性を有するFGF-23の血中濃度が低下することを見いだした。従って、このようなFGF-23遺伝子異常が本疾患の原因となり得ることが明らかとなった。 2.健常人における急性の血中リン濃度の変化に対するFGF-23の反応 ボランティア健常者に経静脈的にリン負荷を行っても、3〜6時間の経過では血中FGF-23濃度に有意な変化は認められなかった。従って、血中FGF-23濃度の制御は緩除に行われている可能性、もしくは血中リン濃度そのものはFGF-23の分泌制御には関与していない可能性が示唆された。 3.末端肥大症患者の治療前後におけるリン代謝とFGF-23の変化 末端肥大症患者17例の下垂体手術前および術後1〜2週の検討から、治療により血中リン濃度が低下すると同時に、血中FGF-23濃度も低下を示すことが明らかとなった。従って、FGF-23はリン濃度の低下に1〜2週の経過で代償性に反応することが明らかとなった。
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