2005 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1感染症におけるサイトカイン異常発現と免疫不全誘導
Project/Area Number |
17590983
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤井 雅寛 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30183099)
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Keywords | HTLV-1 / Tax / ATL / IL-2 / NF-AT / NF-kB / AP-1 / 免疫不全 |
Research Abstract |
ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)に成人T細胞白血病(ATL)の原因ウイルスである。約5%のHTLV-1感染者が平均60年の潜伏期間を経てATLを発症することから、感染細胞中に生じる複数の宿主遺伝子異常およびHTLV-1感染によって誘導される免疫不全がATL発症に関与すると考えられている。しかしながら、HTLV-1感染に伴う免疫不全誘導機構については不明な点が多い。一方で、HTLV-1の近縁ウイルスHTLV-2はATLあるいは類似悪性疾患を発症させない、また感染に伴う免疫不全も観察されない。HTLV-1とHTLV-2はともにヒトT細胞を試験管内で不死化することから、感染細胞の不死化以降のステップに免疫不全誘導能の違いが存在する。HTLV-1とHTLV-2のトランスフォーミング蛋白Tax1とTax2によるサイトカイン誘導能を比較検討したところ、HTLV-2 Tax2が転写因子NFATを介してIL-2遺伝子の発現誘導をすること、一方で、HTLV-1 Tax1はNFATを活性化せず、従ってIL-2の発現を誘導しないことを見いだした。一方で、Tax1とTax2はともにNF-kBおよびAP-1を同程度に活性化した。さらに、IL-2受容体に対する抗体はHTLV-2不死化細胞の細胞増殖を著名に抑制したが、HTLV-1感染細胞の増殖を抑制しなかった。以上の結果は、 1、HTLV-1感染においては、正常なT細胞活性化に伴って誘導されるサイトカインのなかでNFATによって誘導される遺伝子群(IL-2を含む)が欠落していること、一方で、HTLV-2感染では、正常な免疫応答により近いサイトカイン発現プロファイルを持つことを示した。 2、HTLV-2によるT細胞の不死化にIL-2のオートクラインが関与すること、HTLV-2の不死化機構がHTLV-1とは異なることを示した。
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Research Products
(6 results)