Research Abstract |
抗リン脂質抗体症候群における抗体産生・血栓形成機序を解明するため,実験的抗リン脂質抗体症候群マウスを作成した.さらに接着分子ノックアウト(KO)マウスを用いることで,接着分子の本症候群の抗体産生・血栓発症に及ぼす影響を検討している. 1)実験的抗リン脂質抗体マウスの作成 Wild type 6週齢C57B2/6マウスにFreund adjubant添加aPL-IgG 1μgまたはヒトβ_2-glycoprotein I(β_2GPI)1μgを後足底部に皮下注射し4週後に同量booster投与した.卵アルブミンを投与したマウスを対照とした.第1回投与後4,8,12週後にマウス大腿動脈より採血し凝固時間(PT, aPTT),血小板数(Plts),aCL-IgG, aCL/β_2GPI抗体を測定した.その結果,aPL-IgGおよびβ_2GPI投与群では8週目よりaPTTの延長,Pltsの減少を認め,12週目では対照群と比較して両群とも有意のaPTTの延長(p<0.01&<0.01,respectively),Pltsの減少(p<0.05&<0.01,respectively),aCL-IgGおよびaCL/β_2GPIの上昇(p<0.05&<0.05,p<0.05&<0.05 respectively)を認めた.各群につき12週目マウスを脱血死させ,腎糸球体血栓の有無をPTAH染色にて評価した.対照群では糸球体血栓はほとんど認めなかった(1.2±2.1%)のに対し,aPL-IgG投与群,β_2GPI投与群では子宮体血栓の有意の増加を認めた(p<0.01&<0.01,respectively).以上の結果より,aPL-IgG,β_2GPI反復投与により実験的抗リン脂質抗体マウスが作成されたものと結論した. 平成18年度は接着分子KOマウスを用いて抗リン脂質抗体誘導・血栓発症に及ぼす接着分子の役割について検討予定である.
|