2006 Fiscal Year Annual Research Report
高度肥満マウスを用いた抗酸化物質による血栓予防効果の解析
Project/Area Number |
17590988
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
井原 勇人 浜松医科大学, 医学部, 助手 (00223298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦野 哲盟 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50193967)
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Keywords | 肥満 / 血栓予防 / 遺伝子 / PAI-1 / レジスチン |
Research Abstract |
脂肪組織は、従来、余剰エネルギーを溜め込むだけの組織であると考えられていたが、近年、様々な生理活性物質(アディポカイン)を産生・分泌する最木の内分泌器官である事が分かってきた。これらアディポカインの産生異常が、メタボリック症候群発症の原因となる事が明らかとなってきている。 医食同源や予防医学の観点から、我々は、赤ワインに含まれる抗酸化物質レスベラトロールによるレジスチン及びPAI-1遺伝子発現抑制効果について検討を行っている。今年度は、昨年度に行った培養脂肪細胞を用いた分子生物学的解析をさらに進めるとともに、マウス個体を用いた解析を行った。 1.レスベラトロール(Resv.)作用点分子の解析とレジスチン遺伝子発現に与える影響 現在までに、作用点分子として、SIRT I, MAPK系シグナル分子,PPAR-αもしくは-γが報告されているが、まずSirt Iに対するsiRNAを用いたノックダウン法によるレジスチン遺伝子発現に与える影響を検討した。siRNA発現ベクターを3T3-L1細胞に導入し、薬剤耐性マーカーにより安定発現株を作成した。これらの安定発現株では、Sirt Iタンパク質はほとんど発現しておらず、この細胞ではレジスチン遺伝子発現そのものが非常に低発現となっていたが、Resv.による抑制効果はみられなかった。空ベクター発現株では、レスベラトロールによるレジスチン発現を有意に抑制した。これらの事から、SIRT Iは、レジスチン遺伝子発現制御に深く関わるものと考えられた。次にMAPK系シグナル分子群、ERK, p38MAPK, JNKのリン酸化を検討した。3T3-L1細胞ではResv.処理によって、ERKが、著しくリン酸化されていたが、そのインヒビターPD98059(50μM)によって、Resv.処理によるレジスチン発現抑制は解除されなかった。PPAR転写因子については、現在解析中である。 2.In Vivoでのレスベラトロール投与によるレジスチン及びPAI-1発現に与える影響 通常マウスにResv.投与(50mg/kg BW)すると、培養細胞ほど急激な抑制効果は見られなかったが、脂肪組織におけるmRNAレベルは減少傾向にあった。ob/obマウスにおいても48h(2ショット)でやはりレジスチンmRNAレベルは減少傾向にあった。血中レベルの解析は現在行っている。
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