2005 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞の分化を抑制する転写抑制因子複合体の解析と新規分化誘導療法の開発
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17590991
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
冨田 章裕 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80378215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清井 仁 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90314004)
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Keywords | PML-RARα / HDAC3 / N-CoR / APL / 分子標的療法 / 急性白血病 |
Research Abstract |
急性前骨髓球性白血病(APL)に高頻度に発現するPML-RARαは、レチノイン酸受容体標的遺伝子の発現を異常に抑制し、白血病の病態形成に関与すると考えられている。われわれは、白血病治療の新規分子標的を探索するために、全トランスレチノイン酸(ATRA)非存在下においてin vivoでPML-RARαに結合し転写を抑制する、転写調節因子複合体蛋白の同定を試みた。はじめに、293T細胞にPML-RARαを強制発現させた系において蛋白免疫沈降法を行い、内因性のN-CoR(Nuclear Receptor Co-Repressor)とヒストン脱アセチル化酵素3(HDAC3)がATRA非存在下においてPML-RARαと結合することを確認し、その結合がATRA存在により解離することを見いだした。この系においてクロマチン免疫沈降法を施行し、内因性のN-CoR/HDAC3がATRA非存在下においてPML-RARαを介して内因性の標的遺伝子(RARβ,CYP26)プロモーター上にリクルートされることを確認した。さらに、siRNAによる内因性HDAC3の発現ノックダウンを試みた。293T細胞にsiHDAC3発現ベクターを導入しsiHDAC3を発現させることにより、内因性HDAC3の発現がmRNA,蛋白レベルともに抑制されることを確認した。PML-RARα発現下において、標的遺伝子RARβ,CYP26の転写は抑制されるが、この系においてsiHDAC3を発現させることにより、これらの標的遺伝子の発現は活性化(脱抑制)された。以上の結果から、HDAC3はPML-RARαによる標的遺伝子発現抑制に対し、重要な役割を果たすことが強く示唆された。これらの結果を踏まえ、18年度はHDAC3,N-CoR等を分子標的とした新規白血病治療の可能性につき、in virtoでの検討を進める予定である。
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