2005 Fiscal Year Annual Research Report
担癌個体および化学療法後の造血回復期における骨髄系免疫抑制細胞の解析
Project/Area Number |
17590994
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
門脇 則光 京都大学, 医学研究科, 講師 (60324620)
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Keywords | 腫瘍免疫 / 免疫寛容 / T細胞 / インターフェロン-α / β / 骨髄系細胞 |
Research Abstract |
1.担癌マウスのin vivoにおけるMSC機能の制御 CT26担癌BALB/cマウスのin vivoにおいて、形質細胞様樹状細胞(plasmacytoid DC ; pDC)によるIFN-αの産生を誘導するアジュバントを投与することによりMSCが減少するか、アポトーシスに陥るかを検討した。しかし、in vitroの結果と異なり、in vivoでのIFN-α/βの誘導は、担癌マウスにおけるMSCの減少、細胞死を誘導しなかった。これは、CpG DNAやpoly I : Cの投与により、IFN-α/βのみならずIL-12やIFN-γといったMSCの活性化因子も同時に誘導されたためと思われる。 2.患者検体におけるヒトMSCの同定と解析 既報に基づいて、頭脛部腫瘍患者の末梢血、消化器癌患者の腹水から、CD34+またはCD11b+CD14-CD15+というphenotypeに基づいてMSCを同定しようとしたが、そのような細胞分画はほとんど検出できなかった。また、頭頚部癌手術摘出標本を細切して、腫瘍巣に浸潤するMSCを単離しようとしたが、浮遊細胞の中にMSCは同定できなかった。以上より、量の限られた患者検体を用いて、ごく少数しか存在しないMSCを解析することは現時点では困難と判断した。 3.担癌マウスのin vitroにおけるMSC機能の制御 以上の結果に基づき、担癌マウスの脾臓MSCのin vitro解析に集中することにした。CT26担癌マウスの脾臓MSCを健常マウスの脾臓T細胞の増殖系に加える実験で、MSCをあらかじめIFN-α/βで前処理し洗浄してから加えてもMSCのT細胞抑制の解除が見られたことから、IFN-α/βはMSCとT細胞の共培養系において、T細胞ではなくMSCに直接働いてその機能を抑制していることが示された。
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