2005 Fiscal Year Annual Research Report
造血細胞の未分化状態維持と分化開始の調節機構の解析
Project/Area Number |
17590995
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 英子 (小河 英子) 大阪大学, 生命機能研究科, 特任助手 (60359859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 徹 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00172370)
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Keywords | 造血 / 未分化性 / 転写因子 / runx1 / hoxb4 / OP9 |
Research Abstract |
1.Runx1およびHoxB4の活性が制御可能なシステムの構築を行った。Runx1をテトラサイクリン除去時に発現誘導ができるES細胞株を樹立し、HoxB4はレトロウイルスベクターを構築して任意の時期に感染させ発現させるシステム、並びに変異エストロゲン受容体との融合蛋白(HoxB4-ER)発現ベクターの構築によりHoxB4も活性のコントロールが可能なシステムが完成した。 2.HoxB4による未分化維持機能とRunx1による二方向性機能の相互作用に関する検討を行った。In vitro血液分化系において初期造血期d4でHoxB4発現ウイルスを感染させすると共にd4-5でrunx1の発現を一過性に誘導するとHoxB4の未分化状態維持機能が増強された。ウイルス感染時期をずらせた検討ならびに、HoxB4-ER融合蛋白発現ウイルス感染後に活性誘導時期を変動させる実験の結果から、Runx1の作用によって増幅された未分化前駆細胞がHoxB4により未分化状態を維持されることにより増強作用がもたされる事が判明した。また、HoxB4の作用により産生された長期に渡って維持される未分化前駆細胞においてRunx1の発現を誘導すると、未分化状態を保つことができず分化がスタートすることが明らかとなった。以上のようにRunx1による分化促進作用はHoxB4の作用を超越して機能することから、制御可能な造血システムの構築においてはRunx1の発現がキーとなることが予測できる知見が得られた。 3.Runx1の作用の分子基盤の解析を行った。In vitro血液細胞分化誘導系のd4-5においてRunx1を発現させた場合の遺伝子発現変化をDNAマイクロアレイにより解析した結果、内皮細胞特異的遺伝子群の抑制が著しくみられる一方、未成熟前駆細胞の増殖促進に作用するサイトカインFlt3 ligandの発現亢進が観察された。Flt3 ligandは実際に初期造血の場である胎児AGM aorta内壁において発現することが確認された。
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