2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590999
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
石川 秀明 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40294623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小幡 雅則 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80158831)
水上 洋一 山口大学, 総合科学実験センター, 助教授 (80274158)
津山 尚宏 広島大学, 大学院医歯薬総合研究科, 講師 (10335747)
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Keywords | 骨髄腫 / IL-6 / Lyn / CD45 / 刺激伝達分子 / PI3-kinase |
Research Abstract |
骨髄腫細胞の増殖にはCD45によって制御されるsrc型PTKの活性化が重要であることから、その下流で働く刺激伝達分子を同定する目的で、Lynと免疫沈降により共沈してくる分子のうちCD45^+ U266でのみ活性化されている分子を探したところ、phospholipase (PLC)-γ2が該当する分子として見つかってきた。さらにprotein kinase C (PKC)の活性化および細胞内Caイオン(Ca^<2+>)の増加がCD45^+ U266の方で亢進していたことから、CD45^+ U266で活性化されているLynの下流にPLC-γ2を介したPKCの活性化および細胞内Ca^<2+>の増加が起こっていると考えられた。PLC選択的阻害剤U-73122処理でCD45^+ U266のIL-6反応性増殖が著しく抑制されたことから、PLC-γ2を介した刺激伝達経路が重要であると思われた。 さらにLynの下流で働く刺激伝達分子を同定する目的で、(His_6) tag化したLynをIL-6依存性CD45^+骨髄腫細胞株ILKM2およびILKM8に強制発現させたところ、IL-6による細胞増殖が促進された。過剰発現したLynは恒常的に活性化されており、さらにphosphatidylinositol-3 kinase (PB-K)およびAktの活性化が亢進していたが、STAT3とERK1/2のリン酸化は変化していなかった。これらの結果は以前の知見を支持するものであり、LynはSTAT3とERK1/2とは独立にIL-6による骨髄腫細胞増殖に寄与していることが確認された。また、PI3-K選択的阻害剤LY294002が細胞増殖を著明に抑制したことからLynの下流で活性化されるPI3-K刺激伝達系がIL-6による骨髄腫細胞増殖に重要であることが今回新たに解った。 以上の結果と以前の我々の実験結果を総合的に判断すると、IL-6受容体を発現する骨髄腫細胞では(総じてIL-6刺激によりSTAT3とERK1/2が活性化されるがこの二つだけでは骨髄腫細胞の増殖には不十分である)、CD45、FGFR3の発現またはIL-6Rαの発現量など細胞膜上にある分子の違いが、種々の細胞内刺激伝達分子を活性化し、最終的にはIL-6によって活性化されるSTAT3とERK1/2に加えてPI3-Kが活性化されることによりIL-6刺激による細胞増殖を起こすことが判明した。 現在、(His)_6 tag化したLynを過剰発現するこれらの細胞の細胞抽出液をNi-beadsによりアフィニティー精製し、Lynと会合する分子群を質量分析法により同定しようと試みているところである。これにより、IL-6による骨髄腫細胞増殖におけるLynの下流で活性化される刺激伝達分子群をより網羅的に解析できると考えている。
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Research Products
(1 results)