2006 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄腫細胞のIL-6依存性増殖調節に関与するCD45分子の脂質ラフト移行の機序
Project/Area Number |
17591000
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
河野 道生 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40161343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 秀明 山口大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (40294623)
小幡 雅則 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80158831)
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Keywords | 骨髄腫 / IL-6 / CD-45 / シグナル伝達 / 脂質ラフト / Galectin-1 |
Research Abstract |
CD45RA, RBあるいはRO遺伝子導入した骨髄腫細胞株のIL-6による増殖動態を解析した。CD45RA導入細胞株では、IL-6による増殖促進効果は見られなかったが、CD45RO導入細胞株ではIL-6による著明な増殖促進が認められた。IL-6刺激後のCD45分子の脂質ラフト分画への移行を、ショ糖密度勾配法による分画とウエスタンブロット法、及び共焦点レーザー顕微鏡下での観察、とで検討した。CD45RO分子はIL-6刺激により速やかに脂質ラフト分画に移行したが、CD45RA分子は移行しなかった。これらのことは、CD45アイソフォームを遺伝子導入した複数の骨髄腫細胞株で確認した。脂質ラフト分画に移行したCD45RO分子は、免疫沈降法による解析にてsrc型チロシンキナーゼであるLynと相互作用して活性化していることを確認した。Lynの下流のシグナル伝達について、免疫沈降法等で検討したが断定的な結果は得られなかった。また、CD45分子と細胞外領域で結合しうるものとしてGalectin-1に注目した。Galectin-1添加により、CD45RA遺伝子導入細胞株では増殖反応が強く抑制されたが、CD45RO導入細胞株では抑制が認められなかった。Galectin-1はCD45RA分子に結合したが、CD45ROには結合しなかった。Galectin-1結合したCD45RA分子の下流では、MAPKキナーゼ活性が抑制されていた。以上、IL-6による骨髄腫細胞の増殖にはCD45分子、特にCD45RO分子の存在が必要であり、CD45RO分子はILー6刺激により速やかに脂質ラフト分画に移行して、すぐ下流のsrc型チロシンキナーゼであるLynを活性化していることを明らかにした。また、CD45RO分子の細胞外領域はGalectin-1とは結合せず、Galectin-1による抑制的作用から逸脱していることがわかった。
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Research Products
(4 results)