2005 Fiscal Year Annual Research Report
HIF-1αを分子標的とした新たな白血病治療法の開発
Project/Area Number |
17591005
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
桐戸 敬太 山梨大学, 医学部附属病院, 助教授 (90306150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 則夫 山梨大学, 医学部附属病院, 教授 (50186798)
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Keywords | HIF-1 / TPO / 活性酸素 / ミトコンドリア / ポリフェノール |
Research Abstract |
本年度は、造血系細胞におけるHIF-1αの発現上昇のメカニズムについて、in vitroでの解析を中心に研究を行い、以下の事項を明らかにした。 1.白血病細胞株におけるHIF-1αの発現上昇には、ミトコンドリア由来の活性酸素種が重要である。 未熟な造血幹細胞に作用するサイトカインの一つであるThrombopoietin(TPO)は、白血病細胞株UT-7/TPOにおいて、HIF-1αの発現上昇を誘導する。最近、低酸素応答によるHIF-1αの安定化には、ミトコンドリアより産生される活性酸素種(ROS)が必要であるとの報告があったことから、TPOによるHIF-1αの安定化にもROSが関与していることを予想し、以下の解析を行った。 (1)白血病細胞株UT-7/TPOを活性酸素除去剤であるカタラーゼで前処理しておくことにより、TPOによるHIF-1αの発現上昇は完全に抑制された。 (2)同様に、ミトコンドリアの電子伝達系阻害剤(ロテノン、オリゴマイシン)を用いることによりHIF-1αの発現は阻害された。さらに、ミトコンドリアの関与を確認するために、ミトコンドリア除去細胞(UT-7/TPO pO)を樹立した。この細胞株を用い、TPO刺激後のHIF-1αの発現を解析した結果、コントロール細胞に比べ、顕著に抑制されていることが分かった。 (3)一方、これらの活性酸素除去剤や、ミトコンドリアの機能抑制はTPOを介するシグナル伝達系の活性化には影響を及ぼさなかった。 2.活性酸素除去剤のHIF-1αの発現および白血病細胞増殖に及ぼす影響 上記の解析結果を踏まえ、ROS除去剤によりHIF-1αの発現を抑制することができるかについて検討を進めた。ROS除去剤としては、ポリフェノール類の一つであるレスベラトロールを用いた。レスベラトロールにより、HIF-1αの発現は完全に阻害され、またTPO依存性の増殖も抑制された。
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