2006 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪細胞に対する遺伝子導入法の最適化と血友病遺伝子治療などへの応用
Project/Area Number |
17591007
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 講師 (20311938)
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Keywords | 脂肪細胞 / 血友病 / 遺伝子治療 / AAVベクター / プルロニック / エリスロポエチン / 組織特異性 / 多血症 |
Research Abstract |
脂肪細胞を標的とした遺伝子治療法につき探索を行った結果、様々な新知見を得ることができた。第一に、注入する1型AAVベクター溶液にプルロニックF88を2%加えることでdb/dbマウス脂肪組織への遺伝子導入効率が格段に向上することが判明した。また、エリスロポエチン遺伝子を搭載したベクターを用いた検討の結果、マウス血中のエリスロポエチン濃度が著明に上昇し、マウスは多血症を来すこと、遺伝子導入を行った脂肪組織は手術によって摘除可能であり、摘除術後に血中エリスロポエチン濃度は正常化すること、などが明らかとなった(Mizukami H, et al. Human Gene Ther.,研究成果欄参照)。また、1型のベクターを用いた場合には導入遺伝子の発現は脂肪組織に限局していたが、8型のベクターを同様に脂肪組織内に注入した場合には、肝臓に対する遺伝子導入が効率よく起きていることを見出した。更には8型のベクターを骨格筋内に投与した場合にも同様に肝臓における導入遺伝子の発現が強く認めらる事などを見出した(投稿中)。これらの知見を血友病遺伝子治療に役立てるべく、凝固第IX因子遺伝子を搭載したベクターを用いてdb/dbマウス脂肪組織への遺伝子導入を行った。その結果、凝固第IX因子の血中濃度は検出可能であったものの、治療域には至らず、骨格筋ないしは肝臓を標的とする方法には及ばないものと考えられた。以上により、血友病遺伝子治療の標的組織としては従来から検討の対象となっている骨格筋及び肝臓が有力候補であり、今後はこれらの組織に対する遺伝子導入法に関する検討に軸足を戻して行くことが現実的な対応であると考えられた。
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