2006 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素による転写因子HIF-1制御を基盤とする新たな白血病の分子標的療法の確立
Project/Area Number |
17591010
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
木崎 昌弘 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (20161432)
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Keywords | 白血病 / 分子標的療法 / 転写因子 / 活性酸素 / HIF-1 / アポトーシス / 生理活性物質 / 細胞周期 |
Research Abstract |
白血病は今日にあっても治癒の難しい造血器腫瘍である。これまでの、成果においてわれわれは、天然物由来生理活性物質により活性酸素(ROS)が産生され、白血病細胞のアポトーシスが誘導されることを見出した。今年度は、さらに詳細な分子機構の解明を行った。緑茶成分カテキン由来EGCGはROSを産生し、白血病細胞のアポトーシスを誘導するが、その際、myeloperoxidase(MPO)陽性白血病細胞への感受性が高かった。EGCGに感受性を有するMPO陽性白血病細胞株HL-60,NB4はMPO阻害剤ABAHおよびヘム合成阻害剤succinylacetoneにより前処置することにより、EGCGによるアポトーシス誘導は阻害された。MPO陰性K562細胞にMPO遺伝子を導入したMPO過剰発現細胞は、EGCGによりROSを産生し、EGCGに対する感受性を回復した。しかしながら、MPOのカルシウム結合領域に変異を有し、MPO酵素活性を欠損した変異MPO遺伝子を導入しても、EGCGへの感受性は回復しなかった。さrに、MPOを介して産生される詳細な活性酸素種について検討したところ、ヒドロキシラジカルが白血病細胞のアポトーシス誘導に重要であることが明らかになった。しかしながら、MPOを介するROS産生に関与する転写因子、特にHIF-1の関与については明らかでなく、今後の検討課題と考えられた。このように、ROSを標的にした白血病細胞のアポトーシス誘導は新たな白血病の治療戦略になると考えられた。 同様に、本年度は生姜成分に由来するzerumboneは白血病細胞の細胞周期G2/M停止を介して、アポトーシスを誘導することを明らかにした。また、大黄成分emodinによるJAK/STAT経路を介する骨髄腫細胞のアポトーシス誘導も見出した。
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Research Products
(7 results)