2005 Fiscal Year Annual Research Report
Toll-likeレセプターシグナルの制御による成人T細胞白血病細胞の増殖抑制
Project/Area Number |
17591018
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
塚田 順一 産業医科大学, 医学部, 助教授 (20227367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長田 良雄 産業医科大学, 医学部, 講師 (80282515)
吉田 安宏 産業医科大学, 医学部, 講師 (10309958)
上野 晋 産業医科大学, 医学部, 講師 (00279324)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / Toll likeレセプター / MyD88 |
Research Abstract |
HTLV-1感染細胞の生存・増殖には宿主細胞遺伝子の活性化が必須であり、これら遺伝子の恒常的活性化は成人T細胞白血病(ATL)における腫瘍浸潤・高カルシウム血症や腫瘍熱などATL特有の病態形成に関与する。しかし、患者ATL細胞では、このようなシグナル伝達系の恒常的活性化が存在するものの、Tax発現は抑制されている。この事実は、HTLV-1感染初期ではTax依存的遺伝子活性化機構が重要であるが、感染の最終段階であるATL細胞では、Tax非依存的な活性化機構が出現することを示す。 Tax非依存的機構において、今回我々はToll likeレセプター(TLR)シグナルに注目した。TLRは自然免疫を担当する細胞に発現し、病原微生物の構成成分を認識する。我々は、まずHTLV-1細胞株MT-2・HUT102におけるTLRアダプター蛋白であるMyD88・IRAK1の発現および活性化を検討し、これらの細胞ではMyD88およびIRAK1とも十分に発現しており、両者は恒常的に会合し活性化を受けていることを証明した。さらにドミナント・ネガティブMyD88発現ベクターを作成し、骨芽細胞MG63におけるIL-1刺激によるNF-κB活性化に及ぼす影響を検討したところ、IL-1によるNF-κB活性化はほぼ完全に抑制された。このベクターを用いてMT-2におけるMyD88の恒常的活性化を抑制したところ、MT-2におけるNF-κB・NF-IL6転写因子やIL-1α・IFN-γ遺伝子プロモーターの恒常的活性化が有意に抑制され、サイトカイン蛋白産生も低下した。さらに、ドミナント・ネガティブMyD88はMT-2の細胞増殖を抑制し、早期アポトーシスを誘導した。このように、ATL細胞におけるTLRシグナル伝達系はそのアダプター蛋白であるMyD88を中心に、ATLにおける遺伝子異常発現に寄与している可能性を強く示唆した。
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