2005 Fiscal Year Annual Research Report
造血器腫瘍に対する同種養子免疫療法の標的となるマイナー抗原の同定
Project/Area Number |
17591025
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
赤塚 美樹 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 室長 (70333391)
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Keywords | マイナー組織適合抗原 / 細胞傷害性T細胞 / 養子免疫療法 / 造血器悪性腫瘍 |
Research Abstract |
マイナー抗原は遺伝子多型の違いによって移植片対宿主病(GVHD)や移植片対白血病/リンパ腫(GVL)効果の標的となる抗原である。このマイナー抗原反応性の細胞傷害性T細胞(CTL)のうち、造血器腫瘍細胞を含む血液系細胞に特異的なものは同種移植後の抗腫瘍免疫療法に有用である。昨年度同定したHLA-A^*3101およびA^*3303拘束性のマイナー抗原遺伝子カテプシンHの発現は比較的ubiquitousであったが、CTLに対する標的細胞の感受性は必ずしも一致しなかったので、マイナー抗原をコードしているisoform aが造血系細胞でユニークに発現していないかを共焦点レーザー顕微鏡で解析したところ、非造血細胞もisoform aを大量に発現していることが分かった。しかしHLA-A^*3101陽性、CTSHマイナー抗原陽性の正常腎尿細管上皮と腎がん細胞株(ともにCTSH蛋白質を強発現)はIFN-γとTNF-αで前処置してもCTLで傷害傷害されず、またこれは細胞内抗原プロセッシング装置をコードするmRNAの発現量の違いでも説明できなかった。以上の機序は不明であるが、非造血組織で発現しているCTSHは認識されない可能性が高く、GVLを期待した養子免疫療法への応用が期待できる(論文投稿中)。 次に、新規HLA-B^*44拘束性のCTLクローン(造血系細胞を強く傷害)のマイナー抗原遺伝子を発現クローニング法にて機能未知のESTとして同定した。このマイナー抗原は、一塩基多型の有無によりスプライシングパターンが異なるために、抗原性が異なるユニークな機序により成立していた。現在、定量PCRを用いて各種組織での発現分布パターンを検討しつつ、臨床検体を用いて本マイナー抗原の意義付けを行っている。
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