2006 Fiscal Year Annual Research Report
造血器腫瘍に対する同種養子免疫療法の標的となるマイナー抗原の同定
Project/Area Number |
17591025
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
赤塚 美樹 愛知県がんセンター(研究所), 腫瘍免疫学部, 室長 (70333391)
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Keywords | マイナー組織適合抗原 / 細胞傷害性T細胞 / 養子免疫療法 / 造血器悪性腫瘍 |
Research Abstract |
マイナー抗原は同種移植ドナーと患者間の遺伝子多型の違いによって生じるアロ抗原であり、移植片対宿主病(GVHD)や移植片対白血病/リンパ腫(GVL)効果の標的となるものである。このうち、造血系細胞に特異的に発現するマイナー抗原は、選択的にGVL効果を誘導すると考えられている。本年度は既知のGVL誘導型マイナー抗原のうちHLA-A^*0201(日本人の2割弱で陽性)拘束性のHA-1が、15%程度の日本人が有するHLA-A^*0206分子によっても提示されうることを見出した。我々は、9-merのHA-1エピトープを中央部に含む、合計29-merからなるペプチドを合成し、これを用いてHA-1のアミノ酸多型がGVL方向のミスマッチ移植を受けたA^*0201陰性の患者の移植後末梢血を刺激した。その結果得られたクローンはA*0206拘束性と判明し、エピトープはA^*0201結合性のHA-1と同一であった。HLA-A^*0206に結合するペプチドのアンカーモチーフはA^*0201とかなり異なっており、HA-1エピトープが結合することは予測外であった。この結果、HA-1の日本人における臨床応用可能性は約2倍となった。 次に、昨年度発現クローニング法にて同定したHLA-B44拘束性のCTLクローンが認識するマイナー抗原遺伝子について詳細な解析を行った。定量PCRを用いた解析の結果、このマイナー抗原遺伝子(HMSD)の発現は、骨髄性白血病、多発性骨髄腫で高かった。また正常細胞では、活性化された造血細胞にのみ発現を認め、移植後のGVL効果増強のための良い標的となると考えられた。免疫不全マウスを用いた生着阻害試験で、このマイナー抗原は白血病幹細胞にも発現し、CTLクローンによって傷害を受けることが分かったため(論文執筆中)、現在臨床応用について検討している。
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