2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591027
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
住田 孝之 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00183054)
|
Keywords | シェーグレン症候群 / 自己免疫的T細胞 / T細胞エピトープ / アナログペプチド / ムスカリン作動性アセチルコリン受容体 / 自己抗原 / 抗原特異的制御 / マウスモデル |
Research Abstract |
1.T細胞エピトープによるSSの制御 唾液腺浸潤T細胞の自己抗原の候補として、唾液腺特異的に発現し、唾液分泌に関連するムスカリン作動性アセチルコリン受容体(M3R)に焦点をあてる。特に、細胞内シグナル伝達に重要な細胞外第二ドメインのT細胞エピトープを明確にする。つぎに、HLA-DRに結合するアンカーモチーフを保存した変異ペプチドを合成し、in vitro T細胞をアナジーに陥らせるアナログペプチドを選別する。M3Rの免疫により誘導した唾液腺炎モデル動物を作成し、in vivoにおいて実際にアナログペプチドにより唾液腺を抗原特異的に制御できるか否かを検討する。 1)T細胞エピトープの解析 (1)M3RのT細胞エピロープ解析:先行実験でM3R反応性T細胞が認められたSS患者の多くがHAL-DR B1*0901を有していたため、B1*0901に結合するアンカーモチーフを有するVPPGECFIQFLSEPT(AA215-229)をM3Rの細胞外第二ドメインのT細胞エピトープと断定した。 (2)M3Rのアナログペプチド解析:9種類の変異ペプチド(M3R AA215-229)を作成してアナログペプチドの選定を行った結果、HLA-D B1*0901陽性SS患者におけるアナログペプチドはVPPGECFKQFLSEPTとVPPGECFIAFLSEPTであることが判明した。 (3)M3R誘導唾液腺炎モデルマウスの作成:M3Rの細胞外第2ドメインをコードする25マーの合成アミノ酸(KRTVPPGECFIQFLSEPTIT FGTAI, AA212-236)を100μgのCFAと同時にC57BL/6(B6)マウスの皮内に注射することにより、抗M3R抗体産生による唾液腺分泌障害モデルを作成した。 2.SSの疾患感受性遺伝子解析 SSの発症に関与する疾患感受性遺伝子を特定するために、SS患者由来の唾液腺、および、コントロールの唾液腺を対象として、cDNA microarray法を用いて解析した結果、INF-γ inducible geneの一つであるSTAT1-αが唾液腺上皮細胞で特異的に発現し、Tyr701,Ser727のリン酸化も認められた。さらに、Fas遺伝子発現の増強、IP-10やRF-1などのSTAT1関連遺伝子の発現もみられた。SSの唾液腺上皮細胞におけるSTAT1-αの活性化は唾液腺をアポトーシスに誘導し破壊する機序として重要であることが判明した。
|