2006 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチ・強皮症におけるβ1インテグリン関連分子の病態生理的意義の研究
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17591031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 哲史 東京大学, 医科学研究所, 特任助手 (00396871)
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Keywords | インテグリン / 接着分子 / Cas-L / テトラスパニン / 細胞遊送 / TGF-β / NF-κB / Smad |
Research Abstract |
β1インテグリンは、メモリーT細胞に多く発現する共刺激分子である。本研究は、関節リウマチでの炎症や、強皮症での膠原繊維増生におけるβ1インテグリンとその関連分子Cas-Lについて解析を行った。 1)Cas-LのTCR/β1インテグリン共刺激依存的細胞遊走能・細胞活性化能とraft移行性との構造活性相関の解析:シグナル伝達、接着、物質の細胞内輸送等の細胞機能に重要な役割を果たしているlipid raftにCas-Lが局在すること、RNAiによるCas-Lの抑制が共刺激による細胞遊走能・IL-2産生の低下を招くことを明らかにした。これらの事から、Cas-Lのraftへの局在は、細胞遊走・活性化において重要な役割を果たしている事が示唆された。 2)関節リウマチにおけるRANKL/IKK/NF-κBシグナル系とCas-Lの相互作用及びその病態生理的意義の解析:Cas-LがIL-1,TNF一α等の炎症性サイトカインのシグナル伝達に重要なNF-κB系の中心に位置するIKK-α,βと結合することを明らかにした。また、定量PCR法により、骨の破壊やリモデリングに関与する破骨細胞への分化誘導性サイトカインであるRANKLにより、p130Casの発現上昇とCas-Lの発現低下を見出した。 3)強皮症におけるTGF-β/Smadシグナル系とCas-Lの相互作用とその病態生理的意義の解析:293T細胞を用いた過剰発現系とヒト肝癌細胞株Huh-7における、Smad6,7とCas-Lの結合と共局在を明らかにした。siRNAを用いた解析により、Cas-LとSmad6,7との相互作用は、TGF-βの細胞増殖抑制作用及び転写活性化作用を亢進することを明らかにした。TGF-βは強皮症におけるcollagen産生に対して重要な役割を果たす多機能サイトカインであり、その病態形成にけるCas蛋白の役割の解明が急務である。
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