Research Abstract |
これまでにHCV-IRES発現細胞RCF-26を用いてHCV-IRES関連因子であるLa, PTB, eIF3-p110,eIF3-p170,PCBC1,PCBP2,RNPL, eIF2gamma, eIF2beta, PMSA7及びキャップ依存性蛋白翻訳機構において5'末端のキャップ構造を認識して翻訳因子複合体を形成するeIF2,eIF4A, eIF4E, eIF4Gに対するアンチセンスオリゴを作成し、それぞれの翻訳関連因子の発現を抑制した状態でのHCV-IRES活性、キャップ依存性翻訳活性の検討を行った。これらの翻訳関連因子のうちHCV-IRES活性の低下が認められたものはLa, PTB, eIF2 gamma, PSMA7であり、他の因子に関しては変化が認められなかった。平成17年度はこれらの知見をHCVレプリコンを用いて検証した。現行のHCVレプリコンシステムはHCV-IRES、ネオマイシン耐性遺伝子、EMCV(encephalomyocarditis virus)-IRES、非構造蛋白NS3-NS5を結合したsubgenomic RNAが恒常的に複製するシステムであり、非構造蛋白の蛋白翻訳はEMCV-IRESによって行われる。翻訳関連因子とHCV複製効率を検討するにはEMCV-IRESの代わりにHCV-IRESを入れ込んだレプリコンの使用が必要である。今回、従来型レプリコン(NNeowt)とHCV-IRESのみを有する新しいレプリコン(MH14C)を用いて検討を行った。La, PTB, eIF3 PCBP2,eIF2gamma, PMSA7に対するsiRNAを作成しレプリコン細胞にランスフェクションしHCV-RNAの増減をRTD-PCR法を用いて検証した。従来型レプリコン(NNeowt)ではLa, PTB, eIF3 PCBP2,eIF2gamma, PMSA7の発現抑制にかかわらずHCV複製には変化は認められなかった。HCV-IRESのみを有する新しいレプリコン(MH14C)ではLa, PTB, eIF2gamma, PMSA7の発現抑制によりHCV複製の著名な抑制が認められた。以上より、これらの翻訳関連因子はHCV複製に極めて重要な働きをしていることが明らかとなった。
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