2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591058
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
八木下 尚子 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 講師 (40367389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西岡 久寿樹 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 教授 (60049070)
中島 利博 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 教授 (90260752)
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Keywords | 関節リウマチ / 滑膜細胞 / シノビオリン / E3ユビキチンリガーゼ / 小胞体関連蛋白質分解 / 遺伝子改変マウス / p53 / アポトーシス |
Research Abstract |
シノビオリンは、われわれが関節リウマチ(RA)滑膜細胞よりクローニングした分子で、小胞体膜上に存在しERAD(Endoplasmic reticulum associated degradation)において機能するE3ユビキチンリガーゼである。またRAでは滑膜細胞にシノビオリンが過剰発現することによりERADを活性化させ、滑膜細胞の増生をもたらすことでその発症に関与していることをこれまでに証明した。 しかしながら全身に発現しているシノビオリンがRAという局限した病体を引き起こすかは不明な点が多かった。そこでわれわれはその理由として、シノビオリンの基質の存在を考えた。 この点を解明するために、まずsyno^<-/->と野生型(syno^<+/+>)の間で発現している分子の差をプロテオミクスにより検討した。その結果、syno^<+/+>と比較しsyno^<-/->で蓄積しているいくつかの分子、すなわちシノビオリン基質候補分子群の同定に成功した。その中でも特に細胞死に関連するp53が同定され、実際にp53がシノビオリンによりユビキチン化・分解されることが証明できた。 MDM2に代表されるようにp53に対するユビキチン化酵素は多く報告されている。しかしながら、シノビオリンはp53が核に移行する前に細胞質でユビキチン化・分解するため、これまで報告されているものとは全く異なる経路での制御である。滑膜細胞において過剰に発現したシノビオリンがp53を代謝することは、おそらくRA発症の鍵となる事象となると考えられる。今後、シノビオリンとp53の関係が滑膜細胞増殖に対しどのような影響を及ぼすかについて検証することで、新たなRA治療標的分子の発見へと展開できることが期待される。
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