2006 Fiscal Year Annual Research Report
アンジェルマン症候群の遺伝学的診断法と遺伝カウンセリングの確立
Project/Area Number |
17591064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
斉藤 伸治 北海道大学, 大学病院, 講師 (00281824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 章 北海道大学, 大学院医学研究科, 客員研究員 (90374412)
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Keywords | アンジェルマン症候群 / 遺伝子診断 / エビジェネティクス / 遺伝カウンセリング |
Research Abstract |
アンジェルマン症候群(AS)を対象として体系的遺伝学的診断法の開発を行ない、すべての遺伝学的群の診断方法を確立した。DNAメチル化テスト、多型解析、UBE3A変異解析、リアルタイムPCRを用いた微細欠失解析の組み合わせで、すべての遺伝学的群に対応が可能となった。体系的遣伝学的診断法を用いてAS非欠失例85例の解析を行うことができた。内訳は、片親性ダイソミー(UPD)7例、刷り込み変異7例、UBE3A遺伝子変異23例であり、44例には異常が検出できなかった。メチル化テスト陽性例のなかで、4名は両親の検体が入手できず、UPDと刷り込み変異との区別ができなかった。従って、非欠失例の67%の原因を同定することができた。UBE3A変異はエクソン8からエクソン16に広く分布した。そのなかで、エクソン16の3089-3095領域に5家系の変異が集中し、変異の好発部位であった。弧発例で母親の解析が8例に可能であった。そのなかで、2例の母が保因者であり、6例はde novoの変異であった。これらの結果は日本人におけるASの遺伝学的分類の基礎データを提供し、遺伝カウンセリングを行うための重要な資料となる。 特に、症例の集積できたUBE3A変異例について、欠失型と臨床データの比較検討を行い、遺伝型表現型連関の解析を行った。欠失例としては研究代表者が直接診療を行っている10例を用いた。ASの診断基準を形成する基本的な症状に関する罹患率には違いを認めず、UBE3A変異例も基本的な症状は欠失例と共通していた。しかし、発達マイルストーンの獲得時期を比較すると、坐位以降の発達は、UBE3A変異例が欠失例より有意に良好であった。この結果はUBE3A変異例が欠失例より軽症であることを統計的に示したと考えられる。 分子遺伝学的検討と臨床的検討を多数の非欠失AS例に対して行うことができた。これらの結果は日本人AS患者の全体像を理解する上で、必須の情報を提供し、本邦におけるASの診断、遺伝カウンセリングに大きく寄与すると考える。
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Research Products
(4 results)