2006 Fiscal Year Annual Research Report
3次元モデルを用いた微少残存白血病細胞の動態解析に基づく再発予知的治療戦略の創成
Project/Area Number |
17591073
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
犀川 太 金沢大学, 医学部附属病院, 講師 (60283107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松崎 俊彦 金沢大学, 自然科学研究科, 講師 (80293372)
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Keywords | 顆粒球造血 / コンピュータシミュレーション / システム生物学 / 細胞動態解析 |
Research Abstract |
平成17年度の研究期間にセルラオートマトン法を用いた顆粒球系造血モデルの骨格を構築した。その特徴は,(1)骨髄を想定した3次元空間に、(2)生体の骨髄に存在する骨梁や血管を構造物として取り入れた近似的骨髄空間を構築した。(3)細胞は局所近傍則に従って解析空間内の区分領域から隣接する区分領域へ移動し、分化・分裂する。(4)細胞の動態を直接モニター上に表示し,(5)解析空間内の全ての細胞の位置、分化段階は経時的に抽出可能とした。この造血モデル上で造血システムの恒常性維持、抗がん剤投与、およびG-CSF投与時の顆粒球造血過程の細胞動態を解析し、臨床データとの比較からモデルの有用性を示すことが可能であった。平成18年度の研究期間では(1)上記解析結果の学会報告,(2)シュミレーションソフト化,(3)微小残存白血病細胞(MRD)の動態解析を行った. [結果](1)学会発表:顆粒球系造血シュミレーションモデルを用いて造血システムの恒常性維持、抗がん剤投与、およびG-CSF投与時の頼粒球造血過程の細胞動態を臨床データと比較し,モデルの有用性を第4回lnternational conference on computational methods in systems biology, in Trento, Italy, October 18-19,2006で発表(Granulopoiesis in Computational Haematology,ポスター発表)した. (2)条件設定やデータの入力を簡易化することは,使いやすさの向上と解析時間の短縮を図ることが出来る.また,造血の基本理解を目指した教育ソフトとしての普及版を作成するためには汎用化(Windows/Mac対応)が必要と考え,まずはユーザーフレンドリー仕様のWindows対応版の開発を進めている. (3)白血病幹細胞の存在が概念から事実的存在へと明らかになりつつある.微小残存白血病細胞(MRD)の動態を解析するために,白血病幹細胞をモデルへ導入し,正常幹細胞の動態との比較を開始した.MRDの骨髄細胞の正常分化への影響を動態解析から探り,臨床応用可能な再発予知因子を解明する.
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