2006 Fiscal Year Annual Research Report
プロスタグランジンD2を鍵とした脱髄疾患の病態解析と治療法の開発
Project/Area Number |
17591085
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷池 雅子 大阪大学, 子どものこころの分統御機構研究センター, 特任教授(常勤) (30263289)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 則夫 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (30314313)
和田 和子 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30294094)
荒堀 仁美 大阪大学, 医学部附属病院, 非常勤医員 (40379186)
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Keywords | 脱随 / プロスタグランジンD2 / 神経炎症 / ミクログリア / アストロサイト / プロスタグランジンD合成酵素 / 神経病理 / アポトーシス |
Research Abstract |
プロスタグランジン(PG)であるPGD_2は中枢神経系における主要なプロスタノイドである。 平成17年度は、遺伝性脱髄モデルtwitcher (TW)において(1)ミクログリアのHPGDSにより産生されるPGD_2はDP1を介してミクログリアを活性化しHPGDSの産生を増加させること、(2)DPの刺激によってアストロサイトが活性化されることがわかった。 平成18年度は、HPGDS欠損マウスまたはDP1欠損マウスとの交配により、HPGDS4^<-/->TWおよびDP1^<-/->TWを作製、また、TWにHPGDSの阻害剤であるHQL-79を日令20から連日皮下注射にて投与し、TWの病態におけるPGD2の作用を解析した。 TWは日令20から体重増加不良、進行性失調、痙性を示し、その平均寿命は44±0.7日である。HPGD3^<-/->TWおよびDP1^<-/->TWでは平均寿命は47.3±4.5および46.2±0.5日、HQL-79(50mg/kg/day)糖群では平均寿命が47.8±13日といずれも優位の延長を認め、また、痙性や失調等の神経症状も明らかに軽減した。日令45でもHQL治療群では移動が可能であり、righting reflexも認められた。神経病理的検索により、HPGDS^<-/->TW、DP1^<-/->TWおよびHQL-79治療群ではいずれも免疫組織学的検索にてgliosisの軽減が認められ、とくにHPGDS^<-/->TWおよびHQL-79治療群で有意に(1)TUNEL染角によりオリゴデンドログリアのアポトーシスが抑制され、(2)二次的脱随も軽減し、(3)iNOSの発現の低下を認めた。 これらの研究結果より、ミクログリアに発現するHPGDSが産生するPGD2はDP1を介して神経炎症を増悪させ、二次性の脱髄を引き起すことを証明した。
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Research Products
(7 results)